第三十九話
森の中での言い争いはまだ続いているようだ。
「だから、俺たちと組めって言っているだろう。女を守るのが男の役目ってな」
男たちは口ではそう言っているが、彼女たちを見つめる視線は明らかに下心がこもっている。
「ふざけないでください! 貴方達の様な女性の扱いがなっていない方と組むなんて絶対に嫌ですわ」
強気に応対している子は、フーカと表示されており、艶やかな黒髪をした少女だ、見たところ武器は双剣…かな? えらく柄の部分が長い剣だ、二本とも刀身と同じくらいの長さがある。
「フーカの言う通りや、わたしもアンタたちの様なめんどくさい人達とは組みたくはないな~」
そのフーカさんの隣に立っている子は、カオルと表示されており、少々気だるげな感じのする子だ。武器はハンマーを持っていた。
向うの様子も、ドンドンヒートアップしているようで、雰囲気がつられるようにドンドン険悪な雰囲気になっていった。流石にこれ以上放置しておくと戦闘になってしまいそうなので、ボクは女の子二人をかばう様に割って入ることにした。
「待った待ったーー、取りあえず落ち着こう。ね、女の子に無理矢理迫るのは良くないよ」
「貴方は?」
「ボクはユウキ、森で狩りをしていたら。何やら争うような声がしてきたからお節介かもしれないけどちょっと顔を出してみたんだよ」
ボクは、取りあえず周りに落ち着くように言ったが
「へぇ~~ユウキちゃんって言うのか、君もかわいいね~~どう、君も俺たちと組まないか」
うわ、こっちにまで絡んできた。
「ボクは既に組んでいる人達がいるからいいです」
「そんなこと言わずにさ~~俺たちマジで強いよ」
……強さでいったら、シンヤにかなう人はそういないと思うけど。そう思っているとさっきまで後ろにいたモモちゃんが前に出てきた。
「ユウね~さん、こういう時はこうすればいいんだよ」
モモちゃんはそう言うと、ごく自然に素早く銃を構え、男の一人に照準を合わせ、その額を撃ち抜いた。余りにも自然に撃ち抜かれた男は即死だったのだろう。何が起きたのか分かたらない様子で光の粒子になっていき消えていった。その光景を全員が呆然と眺めており、そして……
「はぁ~~!?」
まずは男たちが驚きの声を上げ。
「モモちゃん!!」
次にボクが驚きの声を上げた。いきなり何をやっているんだこの子は!? それにその不意打ち技術はどこから手に入れたんだ!?
「ふっふっふ、ユウね~さんだけでなく、モモもシンに~さんに教えて貰ったんだ……上手な不意打ちの方法」
犯人はシンヤか!! 何を教えているんだアイツは!!
「テメーら、よくも仲間を殺しやがったな!!」
当然、仲間を殺されてことにより、男たちは怒りだし、武器を構え始めた。
「…はぁ~うまく話し合いで解決しようと思っていたのに……ごめんねこんなことになっちゃって」
「いいえ、気にしてはおりませんわ、それに私もそろそろ我慢の限界にきていましたので」
「ホントや、いい加減潰してしまった方がいいかなって思っていたし」
二人とも武器を構え、戦う気の様だ。
「がんばれ~~おね~さんたちならきっと勝てるよ」
モモちゃんが背後から応援してくれた……っていつの間に後ろに下がったの!? しかも戦うことになった原因はモモちゃんのはずだよね。
「死ね―――!!」
男の一人が斬りかかってくるが、その攻撃はただ剣を叩き付けるような一直線の攻撃だった。
そんな単純な攻撃に当たるほどボクは弱くない!!
ボクは真っ直ぐくる攻撃に対して、一歩横にずれることで躱し、すれ違いざまにこちらの攻撃を叩き込んだ。
…この人達は口で言うほど強くないね。
ボクの方は問題ないとして、周りを確認してみると、他の二人も問題なさそうだ。
カオルさんは、手に持ったハンマーで男たちを思いっきり吹き飛ばしており、男たちは面白いように飛んで行っている。
フーカさんは、武器は双剣かと思っていたが、どうやら違うようだ。普通に双剣として振るう場合もあったが、フーカさんの武器は柄尻どうしで合体し両端に刀身がある一つの武器になるようだ。この武器はなんていえばいいんだろう……ツインブレードかな?
フーカさんはそれを使い、まるで舞踏を舞う様に動き、次々と周りの男たちを切り刻んでいった。そして、気が付いた時にはリーダー格だった男一人を残すだけだった。
「ふん、口ほどにもありませんでしたわ、よくその程度の実力であそこまで自信をもてましたわね…まぁこれで終わりですわ!!」
「ハッ、何勝った気でいやがる。『一騎当千』」
フーカさんが最後に残った男をしとめるべく、両刃剣を振るうがその一撃は男に弾かれてしまった…いやそれだけでなく男の力が強かったのかフーカさんは大きく吹き飛ばされていた。
「まさか、ユニークスキル!!」
「そうさ、これが俺のユニークスキル『一騎当千』さ。このスキルはな相手が多いほど俺自身の能力が増すんだよ。4対1だからって勝てると思うなよ」
えらく自信満々だったのはユニークスキルを持っていたからなのか。




