第三十五話
「そういえばシンヤ、お前はもうユウキとは組んでいないのか?」
どうやらアッシュは、集合したメンバーの中にユウキの姿が無いことに疑問を抱いているようだ。
「いや、今日は偶々別行動なだけだ。それよりアッシュ、俺はお前のパーティーメンバーの事が気になる。そんなに女の子を集めてハーレムでも築きたいのか」
「ちげーよ、何故かわからんが、集まってきたのが全員女だっただけだ。ハーレムなんか築く気はねー、そんなのはどこかな鈍感系のヒーローにやらしておけ」
アッシュのその台詞を聞いた。ハルトが思わず手から赤い血の様なエフェクトが出るまで壁ドンを繰り返していた。
「いや、どんな状況になったら女の子がこんなに集まってくるんだよ」
ただ、よく考えてみたらハルトたちと合流するまでの間は俺も女の子三人(ロリ二人)とパーティーを組んでいたんだよな。
「それはだねーシンヤ君、ウチは元々はカーミラとナタリアの三人でパーティーを組んでいたんだよ、それで偶々一人で出歩いていた。メグと出会ってウチ等も丁度三人だけだときついかなーて思っていて一緒に組まんかって誘ったんよ」
つまり、イリスが言うには元々はメグだけを誘うつもりだったのか。
「そしたら、メグが「ペット同伴でもいいですか」って聞かれて、魔法使いソロはきついから何か従魔でもいるんかな~と思って、こっちも「OKOK、問題ないない」って答えたら、連れてきたのは首輪のついたアッシュ君やったからおどろいたわ~、思わずお二人さんはそうゆう趣味の関係かと思ったわ」
やっぱり間違うわな、そうゆう趣味だと。
「ええ、仲睦まじい様子で首輪の付けた人を引っ張て来たときは、私もどう反応すればいいのかわかりませんでした」
ナタリアは今は慣れたのか、アッシュにつけられた首輪を「二人の愛の絆なんですね~」って感じで微笑ましそうに見ていた……俺にはどう見ても、ご主人様とその下僕にしか見えないんだが。
「イリスもナタリアもよくこんな物に慣れるな、アタシにはただの変態にしか見えないんだけど」
「おいカーミラ、俺のどこが変態だ!!」
「ココ」
アッシュの首輪を指差すカーミラ。
「だから、好きで着けてるわけじゃねー、おいメグいい加減に外してくれ」
「嫌よ、アンタが野良犬の様に暴れまわったらどうするのよ、周りから飼い主の責任だって押し付けられてアンタの尻拭いなんかしたくないからしっかりと管理ができる用、首輪を外すわけにはいかないわ」
たしか、従魔の首輪ってまだうまく従えていないモンスターが暴れても、飼い主が首輪を通じて動きを止めることができるんだったな。
「なぁハルト、従魔の首輪って人間でも効果あるのか?」
「さぁ? あったとしてもこういう行動を縛るアイテムは悪用を禁止するために基本的に本人の同意が無ければつけられないと思うけど。例外として衛兵が持つ手錠なんかは本人の同意が無くても使えるね」
つまり、この首輪プレイはアッシュは同意済みか。
「おいシンヤ、何だその目は、言っとくけどなこの首輪をつけたのだってリアルで脅されたから付けただけであって、決して俺の趣味ではないからな」
ハイハイ、わかってますよ……つまりそういう事にしといて欲しいと。
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「そろそろ暑くなってきたな」
前回の様に、奥に行くにつれて気温がドンドン上昇してきており、俺たちはモモ特製の耐暑ポーションを飲んだ。するとさっきまでのサウナの様な暑さは嘘の様に無くなり、快適な気温に感じられるようになった。アッシュたちも同様のポーションを持っているようでそれを服用していた。
しばらく進むとヴァルメーガと戦った場所に着き、その辺りは少し警戒しながら進んだ。当然の如く、倒したヴァルメーガは出ることが無く特に問題もなく奥へ進むことができた。
ここから先は未知の領域だな、改めて気を引き締めた俺の前に初見のモンスターが現れた。全身真っ黒で蝙蝠の様な翼を持っているナイトゴートンというモンスターだ。その名を見たハルトが「ん!?」と何か反応していたが、気にせずに俺たちはナイトゴートンたちに襲いかかった。
問題なく勝利することができたが、ハルトはこのモンスターが気になるようで。こちらに色々聞いてきた。
「どうだった、戦ってみた感想は」
「たいして、強くはないだな」
「そうだな、この間ヴァルメーガの方がパワーもあって強かったな」
ソースケにとってはヴァルメーガのパワーは憧れに近いものになってないか。
「たしかに、ヴァルメーガは強かったな。コイツもヴァルメーガの様に奥に現れたってやつに召喚されたんだろうか」
そう言えば、ヴァルメーガの口ぶりからして奥に何かがいるみたいだが大丈夫だろうか。
「ん? ヴァルメーガが召喚されたってどういうことだい?」
「ああ、現れた時にヴァルメーガ自身が言っていたんだ、自分は奥に現れた者どもに戯れに召喚されたって」
そのことを聞いたハルトが「あれほどの悪魔を戯れに召喚って……」とかブツブツ呟いているが、オタク特有の自分の世界にでも入り込んだんだろう思い気にすることはなかった。
それから、俺たちは枝分かれした道を目印を付けながら適当に進んでいると、何やらでかい広場の様な場所にでた。そこにはすり鉢状の穴があり、その中には巨大な岩がどんとあり、天井が吹き抜けになっていることからその岩が隕石であり、頭上の岩盤をぶち抜いてここに落ちてきたことが推測することができた。
「なぁ、あの隕石から採掘はできないのだろうか?」
俺の疑問に対して、サブローは「やってみましょう」っと意気揚々とその隕石に向かって歩き出した。その習慣隕石だと思われた物がピクリっと反応したことを俺たちは見逃さなかった。
「やばい、離れろ!!」
俺の忠告と共に隕石が持ち上がり、そこから大量の触手が出てきた。触手たちは近くにいたサブローに襲いかかったが間一髪でソースケが間に割って入り、サブローを救出することができた。
「おい! サブローたちは下がってろ、こいつは俺たちがやる」
そう言い、俺は正体を顕わにした。クトーニアンと向き合った。




