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第三十二話



 ヴァルメーガを倒した俺たちだったが、あの後はいったん街まで引き返すことになった。俺としてはせっかくだから奥まで探索してみたかったが俺の刀とヴァルメーガの体に剣をユウキの剣は見事に破損しており、武器の無い状態で奥に進むのは危険だと判断されて、仕方ないからいったん戻ることにした。 


 フェラーラの街まで戻ると、どこから嗅ぎ付けたのか塞いでいたヴァルメーガが倒されて坑道の奥まで行ける様になったことがばれており、次々とドワーフたちが坑道に潜り込んでいった。そのためにわざわざ俺たちがもう一回奥まで潜る必要が無くなり。取りあえず俺は繋ぎ用の武器を買い。今はギンガが頑張って作っている武器ができるまで待っている最中だ。


「あ~~暇だな」


 俺は喫茶店の一席でハルトとソースケの三人で茶を飲んでいた。なぜ三人かというと。今ユウキはモモを連れてフェラーラから少し離れた森で狩りをしているはずだ。ユウキが狙っているのは幻獣と言われるもので、戦闘力は高くないが人を見かけるとすぐに逃げ出してしまう性質をもっている。だから幻獣を狩るにはこっそりと隠れながら狩るか罠を仕掛けるかのどちらかになる。ちなみに、ユウキがこの幻獣を狙っている理由は武器の作り替えに予想以上の出費が嵩みそうだから、この都市で高値で取引されている、幻獣の毛皮を入手することにしたらしい。モモは森で自分が作る薬の材料を探しについていき、俺はなんでもかんでも戦いを挑んで気配に敏感な幻獣が逃げてしまうからユウキに「邪魔だからついてこないで」と言われてしまった。


「そうだね、ユウキちゃんたちにも置いて行かれてしまったしね」


「ふっふっふ」


 ・・・なんでソースケは鉄アレイを手に持って筋トレをしているんだ。


「ふっふ、いや~ヴァルメーガは中々のパワーだったな。俺も負けないぐらいのパワーを得るために筋肉を鍛えないとな」


 どうやら、あの巨大な棍棒を振り回していたヴァルメーガに対抗心を抱いているらしい。


「・・・まぁ、がんばれ」


 昔からソースケは脳筋だったから、大した理由じゃないと思っていたが、ヴァルメーガに負けないぐらいの筋肉って肉体の9割程度を筋肉に変えないと無理なんじゃないか、そこまでいったら、それは人間の形をした筋肉になるな。


「ソースケは相変わらずパワーバカだね」


「ハルト、お前はさっきからルーンをいじっているようだが何をしているんだ」


 ハルトは茶を飲みながら空中にルーンを刻んでは発動させずに消してを繰り返していた。


「ああこれ、今オリジナルの魔術を作っているんだ」


「魔術って作れるのか!?」


 てっきりスキルブックに書いてあるルーンを刻むしかないっと思っていたんだが。


「作るっていっても、パズルの組み合わせに近いかな、魔術はルーンの組み合わせで発動する術が決まるだろ。だからその組み合わせをいじれば全く違う術に変えることをできるんだよ」


「つまり、ファイアボールの火の部分を氷に変えればアイスボールになるってことか」


「簡単に言えばそういうことだね。ただ、文字を増やして強力な術にする場合はもっと複雑になるよ」


「どんな風に?」


「まずは文法を気にしなくてはいけないし。ファイアボールで例えるなら、ルーンが『飛ぶ火の玉』って刻んであるとするでしょ、それを『玉の飛ぶ火』とか刻んでもわけが分からなくなるって術が発動しないってことだね」


 玉の飛ぶ火・・・発動すれば何かに使えそうだな。


「後気にしないといけないのは、ルーンの意味そのものだね」


「意味って言うと、刻んだルーンが『火』とか『飛ぶ』のどの意味にあてはまるかっていうことか」


 ハルトはチッチッチと指を振った。


「ルーンはもっと複雑だよ。例えば『火を激しくする』っていう火の魔術の威力を底上げするルーンもあるから、単純な名詞や動詞だけで構成されているわけではないからね」


 ・・・考えるだけでもめんどくさいな。


「お前は今何文字のルーンをいじっているんだ」


「自分は今8文字の魔術を作ろうと思っているんだけどうまいこといっていないな」


 よく飽きもせずにそんなことできるな。


「それで、聞いてあげるけど君は一体何をしているんだ」


「・・・見てわからないか」


「自分の目にはストローの袋を折りたたんでいるように見えるけど」


「ああ、それをこうするんだ」


 俺は折りたたんだストローの袋に水滴を垂らした。


 すると、ストローの袋がウネウネを動き始めた。


「・・・」


「・・・あ~~暇だ」


 自分でもすっごいつまらないことをしているってわかっているんだよ。


「ギルドにでも行って、何か仕事を探す?」


「そうだな、行くか」


 俺はハルトの提案に乗ってギルドに向かっていった。



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