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第三十一話




「ぬぉぉ!?」


 ヴァルメーガに叩き潰されたと思われたギンガがいきなり奴の背後に現れて、そのまま奴を斬りつけた。


「ん・・・『影踏み鬼』(ブラックアウト)


 そう、モモがさっき渡した大剣は俺がオンブラから奪った『影踏み鬼』(ブラックアウト)であった。そして、先程の閃光玉はヴァルメーガの目を眩ませるだけでなく、もしもの時のためにギンガの影を背後に投げた閃光玉で伸ばしヴァルメーガに踏ませる事により『影踏み鬼』(ブラックアウト)の効果でヴァルメーガの影まで移動してもらう意味もあった。


「カッカッカ、小僧だけでなく小娘どもも中々やりおるではないか。これは全力で相手をするしかないのう」


 瞬間、奴の体が膨張し、一回り大きくなった。しかも、纏っているオーラも先程よりも多くなっており、手に持つ棍棒も奴の高熱に侵され赤く燃え滾っていた。コイツ・・・まだ本気ではなかったのか。


「さぁ・・・続きを始めようか!!」


 闘志を燃やし、吠えるヴァルメーガを横から俺にとっては聞きなれた声が邪魔をした。


「じゃあ、続きは自分たちも混ぜてもらってもいいかな・・・《ブリザード》」


 魔術師の男が魔術を刻むと、この溶岩が流れる灼熱の地に局地的な吹雪が吹き荒れた。吹雪はヴァルメーガの熱を奪っていき更には混じっている刃の様な雹が奴の体を切り裂いていった。


「オレもいるぜーー《百裂拳》」


 飛び出してきた、男は手にトンファーを装備しており、ヴァルメーガの体を無数の拳で打ち据えた。


「・・・なんでこんな所にいるんだ? ハルト、ソースケ」


 現れたのは俺の幼なじみの二人だった。魔術師装備でメガネをかけた男がハルトで、トンファーを装備した短髪の男がソースケだ。


「シンヤが一向にこっちと合流しようとしないから、わざわざこっちが出向いたんだろ」


 ハルトの奴がこっちに唾を飛ばしながらわめいていた。


「・・・いや、おかしいだろ。俺たちは今日ここに着いたばかりだぞ。お前らが来るとしたらエレウシスだろ。なんでフェラーラのこの場所にいるんだよ」


「ああそうだね、わざわざ出向いてシンヤを知っている人がいないか聞いてみたら。バンチョウって人が君がフェラーラに向かったって教えてもらえたから、ゲートを使ってまで追いかけてきたんだよ」


「・・・お前、そんなに俺と会いたかったのか・・・キモイぞ」


 男のお前に追いまわされても全然嬉しくないんだが。


「殴らせろ!! コイツを倒し終わったら一発なぐらせろ!!」


「だが断る!!」


 俺がハルトと話している間もソースケは一人、ヴァルメーガと殴り合っていた。


「オラオラオラ、かなりのパワーじゃねえかコイツは!!」


「カッカッカ、お主こそ中々鍛えられた肉体を持っておるではないか」


 ・・・なんか、色んな意味で暑っ苦しい空間だな・・・あそこは。


 俺はサブウェポンである短刀を抜き、ハルトはルーンを刻んで魔術を発動させ、戦っているソースケの援護に向かった。


「《アイシクルレーザー》」


 ハルトの刻んだルーンから蒼い閃光が飛び出て、それはヴァルメーガを貫き凍らせていった。身体が凍ったことにより動きが鈍ったヴァルメーガを俺たちは追い打ちをかける様に攻撃を加えていった。


「いくぜ、異伝天草流《繊月》」


 俺は短刀の短さをカバーするために、射程を伸ばす繊月を使った。振るった短刀の軌跡をなぞる様にオーラで作られた刀身が伸びていきヴァルメーガを切り裂いた。


「おっチャンスだな《破王正拳突き》」


 ソースケの渾身の力を込めた突きは轟音と共にヴァルメーガの体に突き刺さり、その体をくの字に折り曲げた。


「ん・・・《ダイブアタック》」


 駆け寄ってきたギンガが、俺の背中を踏み台にし、頭上高く飛び上がると一気に急降下し、大剣をヴァルメーガに叩きつけた。頭頂部から少しずれたところに落ちた一撃は奴の角を打ち砕きながら進み、奴の体まで深く切り裂いた。


「ギンちゃん角を壊してくれてありがと~これで狙えるよ《ピンポイントショット》」


 角が無くなったことにより、モモの位置から眼を狙うことができるようになり。スキルによる精密射撃でモモはヴァルメーガの目を撃ち抜いた。


「ボクの一撃も受け止めてね《サンダーブレイク》」


 ユウキは度重なる攻撃に怯んでいるヴァルメーガに近づき、体に刺さったままだった自分の剣に特大の雷を打ち込んだ。打ち込まれた雷は内部からヴァルメーガの体を焼いていき。そして・・・


「カッカッカ、見事だ・・・」


 ヴァルメーガの体は崩れ落ちていった。








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