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第二十八話




「それでモモ、どうして拳銃なんて持っているんだ?」


 俺はなんでモモがこの世界で拳銃なんて持っているのか聞いてみた。


「えーーなんて言ったのシンに~さん?」


 だが、俺から20メートルくらい距離をとっているモモとユウキには、よく聞こえなかったようだ・・・モモ・・・お前の作ったアイテムのせいでこんな匂いになったんだが。


「上等じゃーー、今そっちに行くから逃げるなよーー」


 俺は二人に向けて走り出した。


「うわっ!! ちょっとこっちに来ないでよシンヤ。匂いが移ったらどうするんだよ」


「そうだよ、匂いが無くなるまで少し離れていてよ」


 俺が二人を追うと二人も逃げ始めて、俺たちは鬼ごっこを開始するのであった・・・なんか今日は走り回ってばかりいるな。


 ひとしきり走り回った後、モモがぶつけてきたアイテムで匂いを消してもらい。俺は改めてモモの拳銃の出どころについて聞いてみた。


「あのね、この銃は旅商人が売っていたのを買ったんだよ」


「つまり、この世界にも銃を作っている都市があるってことか」


「う~~ん、どうなんだろ少なくともこの銃は本体だけが売ってあったから、弾は自分で作るしかなかったよ」


 あ~~だから、モモはフェラーラまでついてきたかったのか、フェラーラは鉱山都市って言われるくらいなら鉱石が豊富で安く手に入りそうだから弾を作るにはもってこいの場所だろう。


「だから、今回使った弾は試作で作ったものだからあまり数が無いの。戦闘ではきたいしないでね」



 無事、密猟者の二人を倒した俺たちはそのことを村長に報告し、一泊した後に、再びフェラーラに向かって歩き始めた。そして、幾つかの村を経由して、ついに、鉱山都市フェラーラにたどり着いた。


 フェラーラは名の通り鉱山に沿う様に街が作られており、街の中に入ると槌を叩く音など様々な物を作る音がうるさいくらい溢れていた。


「なぁユウキ、イーデンのおっさんに紹介された工房ってなんて名前だったっけ」


「ちょっと待ってね・・・ヴァーグナー工房って書いているよ」


「じゃあ、ちょっと聞いてみるか」


 俺は近くの人に道を聞き、教えてもらった工房まで行った。ヴァーグナーの工房はもはや工場と言っていいほどでかく今も多くの人が出入りしていた。


「ここでいいんだよな。すいませーーん」


 俺が大声を出して、呼びかけると一人の少女が奥から現れた。少女はモモと同じくらいの年齢で、褐色肌に銀色の髪をポニーテールにしており、チューブトップにスパッツという非常にラフな格好をしていた。まぁ、格好については仕方ないかもしれん、金属の加工には熱が欠かせないから入り口に立っている俺たちにも凄まじい熱気が感じられていた。名はギンガでどうやらプレイヤーのようだ・・・。


「・・・何の用?」


「武器を作ってもらうために、紹介状をもらってきたんだが」


 そう言い、イーデンのおっさんから貰った紹介状をギンガに渡した。


「・・・親方に渡す・・・ついてきて」


 そう言い、俺たちを奥まで案内してくれた。



「おぬしらがイーデンの紹介状を持ってきた者か」


 奥にいたのは、小さいながらもがっちりとした体躯にもじゃもじゃ髭のいかにもドワーフですって感じのおっさんが出てきた。ちなみに名前はヴァーグナー。


「ああ、今まで使っていた刀では少し物足りなくなってきたからな」


「どれ、見せてみろ」


 そう言い、俺の刀を受け取ると、じっくり眺め始めた。


「ふむ、よく使いこまれているな・・・ただ、少し問題があるのう」


「問題?」


「うむ、この刀はイーデンの店で買ったものだろう、だから当然あの店と取引をしているこの工房で作られたものなんじゃが・・・今、この工房・・・いやこの街ではある問題があっての、それは鉱石を採るために進む道中をモンスターが塞いでおっての。今、この街では鉄鉱石などの比較的に浅い部分で掘れる鉱石しか出回っておらんのじゃ」


「つまり、これ以上の刀を作るにはそのモンスターを何とかして鉱石を採りに行ける様にするしかないってことか」


「うむ、紹介状に書かれている通りなら腕は立つはずじゃ、どうか頼まれてはくれんかの」


「任せろ!!」


 こうして、俺たちは鉱山に潜む、モンスター退治を請け負うことにした。



 依頼を受け、工房から出た時に奥から案内してくれたギンガがこっちに駆け寄ってきた。


「・・・やめといた方がいいよ」


「ん? 何が?」


「依頼・・・この依頼・・・もう3パーティーほど受けていて・・・全員失敗している」


 詳しく聞くと、どうやら依頼のモンスターはゲーム開始時点からいるようで、今までこの工房からだけで3パーティーほど受けてそれらは全部敗走したそうだ。それらのパーティーも6~8人パーティーだったので、立った3人(しかもモモは生産職)で向かうのは無謀だということらしい。


「・・・どうするシンヤ・・・やめる?」


「まっさか~、やるに決まっているだろう」


「アハハ、シンに~さんならそういうよね」


 戦ってもいないうちに逃げ出すようなことをするわけがないじゃないか。


「・・・ちょっと待ってて」


 やめる気配がない俺たちを見て、ギンガは奥へと引っ込んでいき。そして、戻ってきたときは金属製の防具を付け、大剣をもってやってきた。


「手伝う」


 どうやら、ギンガも手伝ってくれるようなので、4人で鉱山の中に入っていった。





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