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第二十三話




「このバカ息子がーーー!!」


 襲ってきた男は俺たちの前で村長にぶっ飛ばされていた。あの後、事情を聞くために村長の家まで案内されたが、村長は男が俺たちを襲ったことがわかると男に殴りかかった。


「大体、なぜこんな子供を密猟者だと思ったのじゃ」


 確かに、現実では高校生二人に小学生高学年の子供だからな。ホントなんで密猟者に勘違いしたんだ?


「丁度この時期に来る冒険者なんて密猟者と勘違いしてしまうだろうが」


 ・・・判定ユル過ぎるだろ。何人引っかかるんだよ。


 二人の話を聞いてみる限り、現在、この森を守護する霊獣である夜光蝶が密猟者に捕獲されているらしい。そのせいで森のモンスター達の気が立っていて、いつ村までモンスターが襲ってくるかわからない状況のようだ・・・あっこの茶菓子うめぇ。


「シンに~さん、このお茶も茶菓子によく合うね。この村で買えるかな?」


「ねぇ・・・二人ともあそこで暴れてる村長たちは無視なの」


 寛いでいる俺たちに何か言いたそうにしているが、ユウキもしっかり自分の分は確保している。


「バカ息子がすまなかったな、旅のお方よ」


「いや、気にしなくてもいい。それより密猟者はどこに出るんだ?」


 流石に密猟者は倒しても構わないだろ、殺してはいけない戦いっていうのは結構ストレスがたまるんだよな。


「もしや、退治しようと思っているのですか!?」


「ああ、俺たちに任せろ!!」


 俺が自信満々に言い放つが村長は余り乗り気では無い様だ。


「・・・気持ちは有難いのですが、あなたたちのような子供にそのようなことを頼むのは・・・」


 どうやら、俺の実力が分かっていないらしい。


「いや、俺はこう見えてもすでにランクCの冒険者だから力になれると思うぞ」


「なんと! では、その若さで更にシンヤと言う名・・・噂のオーガの群れのボスを退治したという冒険者ですか!?」


 まさか、こんな村にまであの時の俺の噂が流れているとは。


「ふむ、それならばどうか力を貸してくれないだろうか」



 こうして俺たちは、深夜に森の奥にある花畑に目指して歩いていた。問題の夜光蝶は満月の夜にその花畑にしか現れないらしく、今夜が丁度満月だから、必ず今日、目的の花畑に現れるそうだ。


「つまり、今回のイベントは満月の日にこの村に訪れればおきたイベントなのか」


「そうだろうね、タイミング的にはピッタリだからね」


 森の中はカンテラで辺りを照らしつつ、襲ってくる虫型のモンスター達を倒しつつ進んで行った。なんか、照らしているカンテラの光に集まってきているようにも見える。


「あっどうやらついたようだよシンに~さん」


 モモが言った通り、森の奥から月明かりに照らされた花畑が現れ、その花畑の上を淡い光を放つ蝶たちが、幻想的な踊りを繰り広げている。その、ただ綺麗だと感じる光景に俺たちは言葉もなく見とれていた。


「こういう光景みたら・・・思わず突っ込んでみたくなるな」


「ほんとにやったら怒るよ、シンヤ」


「シンに~さん、それは流石に空気が読めてないよ」


 しばらく間見とれていたが、ふと、気付いたことがあり二人に聞いてみた。


「なぁ、二人ともあいつら何していると思う」


 俺が指差した方向に、薄暗くてよく見えないが二つの人影が何かをしていた・・・盛り上がったカップルがエロいことでもしているんだろうか?


「えっ!? 何!? どこにいるの?」


 ユウキには暗すぎて見えなかったようだが、モモはカバンからアニマルドロップをだし、昼間のウサ耳とは違い今回はネコ耳を生やし、目もまるで猫の様に変化した。


「ちょっと待ってね・・・シンに~さん!あの人たち蝶を捕まえている!」


「なに!じゃあ、奴らが密猟者か!」


 たしかに、こんなに綺麗な生物なら高く売れるだろうから、密猟して金を稼ごうと思う奴がいてもおかしくないが、この光景を土足で踏み荒らす行為に俺は怒りを覚えていた。


「シンヤ、蝶たちを助けよう!」


 珍しく、ユウキも戦意をあらわにし俺たちは密猟者に向かって駆け出した。


 駆け付けたその場に、剣を大量に持った男と豹頭の獣人が網で蝶たちを捕まえて虫かごの中に入れていた。


「おい、おっさん! この光景を壊そうなんて随分無粋なことをしてくれるじゃないか」


「さっき、花畑に突っ込んでかき乱したいと言った人の発言とは思えないね」


 俺の啖呵に横からユウキが口を出してきたが、気にせずに続けた。


「だから、とっととその虫かごにいれた蝶たちを解放しやがれ」


 最後まで言えて満足だが、後ろで二人が何か言いたそうな感じでこっちを見ていた。


「なんだ、このガキどもは? ただ、見られたからには始末しておかないとな」



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