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第二十二話





 俺たちはエレウシスから出て、フェラーラまでの道のりにある村を目指して歩いていた。


「シンに~さん、奥の茂みからまた来るよ~」


 ウサ耳を生やしたモモが言う通り奥からモンスターの群れが飛び出してきて、襲いかかってきたが、俺とユウキにあっさりと撃退された。


「すご~い、シンに~さん達はどうしてそんなに強くなれたの?」


「・・・日頃の鍛錬の成果だな」


 やっぱり、道場で習ったことを活かせてるのが大きいと思うな。


「アハハ、色々あったからね、それにどちらかというと強いのはシンヤだけなんだけど」


 ユウキはそう言っているが、こいつもかなり強くなってきている。この間のオーガとの戦いでの残党狩りでも普通にそこら辺のプレイヤーより戦えていたからな・・・意外と才能あるんじゃないかこいつ?


「ただ、俺はモモが生やしているウサ耳の方が気になるな」


 戦闘中も俺はモモの頭上でピコピコ動いているウサ耳が気になって仕方がない、なのでちょっと引っ張ってみたがきちんと繋がっているようで「いたい、いたい、ちょっとシンに~さんひっぱらないで~」と訴えかけてきた・・・ついでにユウキも触りたそうに指をそわそわさせている。


「ふ~~、やっと解放された。あのね、このウサ耳の秘密はこれです!」


 モモが見せてきたのは、ドロップキャンディーだった。


「これは、アニマルドロップって言う、一時的に動物の力を手に入れることができるアイテムなんだ。ちなみに、今使っているのはラビットドロップ、つまりウサギさんの力を手に入れることができるの。アビリティでいうなら【聴覚探知】、と【跳躍力強化】だね」


「へぇ~、そうなんだ。ちなみに一個いくら?」


 俺はモモから二個アニマルドロップを買い上げた。


「お~~、ウサ耳が生えるってこんな感じなのか」


「そうだね、なんか不思議な感じがするね。音がよく聞こえるし、ウサ耳まで触覚があるみたいだから、皮膚というか耳が伸びた感じがするね」


 俺とユウキはモモから買ったアニマルドロップを早速使ってみて、ウサ耳を堪能していた。


「アハハ、シンに~さんもユウね~さんも可愛いよ」


 モモはウサ耳を生やした俺たちを笑い、ユウキは恥ずかしいのか少し顔を赤くしながらウサ耳をいじっていた。


「あ、こんちわ~」


「ああ、こんに・・ち・・・わ」


 たまにすれ違ったプレイヤーをウサ耳を生やした三人組とすれ違うという、奇妙な体験で驚かせつつ楽しく旅を進めていった。



 目的の村に近づくと何かが隠れてこちらを窺ているのがわかった。


「・・・見られているな」


「シンに~さんよくわかったね、もうアニマルドロップの効果も切れているのに」


 確かに、ウサ耳があったほうが音が聞き取りやすかったが、それが無くてもここまでじっくり見られていれば嫌でも気付く。


「・・・くるぞ!!」


 周辺の気配が変わったことに気付き、すぐ二人に声を掛けた。それと同時にあたりから人が飛び出してきた。


「な! 村人?!」


 飛び出してきたのは、五人位のただの村人であり、装備しているのも鎌や鍬などの武器とは言い難いものであった。しかし、襲ってくるのでどう対処すべきか悩んでいた。


「なぁユウキ、これは斬ったらまずいよな」


「当たり前だよ、盗賊ならともかくこの人達は村人だよ。何か理由があるはずだよ」


 俺が素手で殺さないように応戦している間に、ユウキは襲ってくる村人に話しかけた。


「なんでボク達を襲うんですか」


「黙れ、森を荒らす輩め、我らが退治してくれる」


 どうやら別の奴と勘違いしているようだ。


「ちょっと、何をしたのさシンヤ、ちゃんと謝らないと」


 こっちも勘違いしていた・・・そこまで信用ないか・・・俺。


「いや、何もしてねぇよ。そもそも一緒に旅をしているんだから俺が何もしていないのはお前も知っているだろうが!」


「も~ユウね~さん落ち着いて、多分別の人たちと勘違いしているんだよ。だからシンに~さん、殺さないようにこの人たちを無力化できる?」


「任せろ!」


 方針を決めた後は、俺の独壇場だった。必死に抵抗する村人を当身や投げで次々と気絶させていき。最後の一人になるまで倒していった。


「ククク、どうやら残りはお前ひとりのようだな・・・さぁ覚悟を決め・・へぶ」


 俺が最後の一人を追い詰めていると、後ろからユウキが蹴っ飛ばしてきた。


「シンヤ! それじゃ悪役だよ」


 ・・・少し悪ふざけをしただけじゃないか。ユウキは蹴っ飛ばされた地面に転がっている俺を無視して残った村人に改めて話しかけていた。


「すいません、ボク達は旅の途中で宿をとるためにこの村に向かっていたので、おそらく皆さんが言っていた人とは無関係だと思います」


「・・・俺たちを殺さずに無力化したことから、どうやらそのようだな。こちらこそ済まなかった、取りあえず村まで案内しよう、ついてきてくれ」


 気を失っている、村人を担ぎ。俺たちは厄介ごとの待ち受けていそうな村まで歩いて行った。

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