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第十九話


「まずい! 逃げようネロ君」


 ボクは今、大量のオーガに追われていた。あの後、順調にオーガを討伐していたけど、次第にオーガの遭遇率が上がっていき気付いた時には周囲がオーガだらけになっていた。


「あの! ユウキさん・・・オレが囮になるから君だけでも逃げてくれないか」


 オーガたちから逃げるために一生懸命に走っているとネロ君がそんなことを言ってきた・・・確かにこの状況はやばいけどそんな手段はボクはとりたくない! そう思うと、ボクは思わず隣で走るネロ君の頭をひっぱたいていた。


「バカなことを言っていないで走って! まだ頑張ればどうにかできるかもしれないでしょ」


 まるで、自分自身にも言い聞かせるように叫び、全力でオーガの群れの中を走りぬけていた。そして、遠くにエレウシスがに見てきた時、空から大きな岩が降って来てボク達の前をを塞いできた。


「迂回するよネロ君」


 ボクが岩を回りこもうとすると道を塞ぐようにオーガが現れて、そいつと戦っている間にドンドン他のオーガが集まってきて、ついに逃げ場が無いほどボク達は囲まれてしまった。


「ごめんユウキさん、オレが誘わなければこんなことにならずに済んだかもしれないのに・・・」


「男の子なんだからグチグチ言わない!」


 ネロ君は少し女々し過ぎる気がする。シンヤならこの状況でも嬉々としてオーガたちに戦いを挑みそうなのに。ほら、聞こえてくる雄たけびを上げながらオーガの群れに突っ込んでいる姿が今も目に浮かぶ・・・ん? なんか聞きなれている声が聞こえている気がするけど・・・


「ユウキーーどこだ――」


「シンヤ!!」


 えっ! どうしてここでシンヤの声がするの?!


「そこか! ユウキ――」


 その声と共にボク達を囲っていたオーガの一角を鎧袖一触という感じで突き進んでくる人影があった。


「ようやく見つけたぜユウキ」


 そして、オーガの群れを切り裂いて、いつものようにシンヤがボクの前に立ってくれた。



「シンヤ! どうしてここにいるの?」


 ユウキがいきなり現れた俺に驚いている。


「モモがお前がピンチかもしれないって教えてくれてな。みんなより先行して駆け付けてきたんだよ」


「えっ?みんなってどういう事」


「今、この上位種に率いられたオーガの群れを迎撃するために冒険者たちがこっちに向かっているんだ。だからもう少し耐えていれば増援が来てくれるぞ」


 他にも人が来てくれることがわかったユウキは安心したようだが以前オーガに囲まれた状況には変わりなくオーガの一体が俺に向かって拳を突き出してきた。それに対して、俺も鬼人の篭手を装備した左腕にオーラを込めた、オーラを込められてたことにより鬼神の篭手は俺の左腕に纏うように変形し、赤黒いオーラが噴き出る鬼の腕と化していた。そして、オーガの拳に合わせるように俺も左腕を突き出した。


 ドガン!!


 凄まじい、炸裂音と共にぶつかり合った拳は明確に勝者と敗者を分けた。そう、俺の拳はオーガの拳を風船の如く破裂させた。


 吹き飛んでしまった拳を眺めていたオーガの首を刀で切断し、俺は周りのオーガどもを威嚇した。


「かかってこいやーーこのザコ共がーー」


 俺の雄たけびを聞いたユウキは後ろで「・・・やっぱりシンヤはこの状況でもかわらないな~」っとぼやいていたが、今は気合を入れてオーガどもと戦う時だ。


 オーガどもを蹴散らしているいると、オーガの群れの奥から一回り大きな個体が現れた。日を背にして堂々と立つその姿は群れのボスであることがわかる。名はオーガロード・オンブラと表示されていた。


「ようやく、親玉の登場か」


 ただ、オーガに囲まれた状況では時間を掛けて戦うわけにはいかないな。


「なら、先手必殺! 異伝天草流《光牙疾雷》」


 俺はオンブラに高速で突っ込んでいき、自信が持つ最速の必殺技を叩き込もうとした。しかし、刀を振りぬいた瞬間目の前からオンブラの姿が消え失せた。


「なに!」


 いきなり敵の姿が消えたことに驚いていると、後ろからユウキが叫んだ。


「シンヤ! 後ろ!」


 後ろを確認するとオンブラが持っていた大剣を振りぬいていた・・・これはかわせない。


「がぁは」


 反射的にオーラを集中させて体を守ったがそれでもかなりのダメージが入った。


「ちくしょう! 何が起こった」


「たぶん、ユニークスキルだと思う。シンヤがアイツの懐に飛び込んだ瞬間にアイツがシンヤの後ろに瞬間移動した」


 ユウキが話してくれたことで、アイツがおそらく瞬間移動系のユニークスキル持ちであることが分かったが・・・ってかモンスターまでユニークスキルを持っている奴がいるのか!

 

 とにかく、ユニークスキルなら発動条件があるはずだ。いつでも自由に瞬間移動はできるはずないから、とにかく攻めるしかない。


 俺は再びオンブラに斬りかかるがオンブラは大剣を地面に叩き付けて石つぶてを飛ばしてきたり、太陽を背にした位置に移動して目をくらましてきたり、普通のオーガと違い力任せにせめて来ないし、単純な力だけでも普通のオーガよりもあるのでかなりやりづらい。


 何度も剣を交え、奴は時にオーガの強靭な肉体でこちらの刃を受け、時にユニークスキルにより俺の背後に移動し躱した。ただ、何度も見せられた結果、奴がユニークスキルを使うと必ず太陽が目に入いり、移動先は俺の背後のみっということから大体の能力は分かった。だからこそ、俺は奴が太陽を背にしたときに突攻した。


「異伝天草流《光牙疾雷・・・」


 再び、高速で突っ込ん行きそして、オンブラの影を踏んだタイミングで回転した。


「嵐!!」


 即座に俺の前から俺の影の上に移動したオンブラに高速の回転切りを叩き込んだ。その一撃は見事オンブラの腕を斬り飛ばし、俺は次の一撃につなげた。


「《鬼血活刀》」


 鬼の腕と化した左腕の血を刃に塗ると、その影響で刀は腕と同じ赤黒いオーラを纏い力を高めた。そして、裂帛の気合と共に放たれた鬼人の一撃はオンブラの体を両断した。


「オオォォォォ」


 俺が勝利の雄たけびを上げていると、どうやら、冒険者たちも到着したようでオーガたちに襲いかかていた。そして、俺を見るなり奴らはこう言った。


「いたぞ~~、上位種だ遠距離部隊、攻撃を叩き込め」


 おいこら!! どういうことだ!!


 俺が否定のしようとしたとき、周囲から魔法と矢の一斉攻撃が降り注いだ。






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