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第十八話




 ユウキが一人で出かけてしまったので、久しぶりに一人で出歩くことになった。特に予定はなかったので、街の中をブラブラとぶらつくことにした。


 暇を持て余し、商業区まで足を延ばした所で、露店を開いているモモに出会った。


「あっ! シンに~さん、やっぱり今日はひとりなんですね」


「やっぱり・・・ってことは、ユウキと会ったんだな」


「はい、今のシンに~さんの様に一人でブラブラしていました」


 どうやら、ユウキもモモの露店まで顔を出したらしい・・・それなら近くにいるのかな。


「そういえばシンに~さん、プレゼントのリボンはいまいちユウね~さんに不評だったようだね。次はもっと喜んでもらえるようなものを考えないと」


 そうだな、俺としてもあのプレゼントを受け取って「ありがとう、さっそく装備させてもらうね」とか言いながら裸リボンで冒険されても困るけど。


「別に、言った通りに裸リボンにしなくても普通に服飾品として使ってもよかったのにな」


「そうだよね~、もともとあのリボンはそういうものだし」


 今、ユウキが着ている服は飾りが少なかったのであのリボンを飾り付けて、モモが着ているゴスロリの服みたいに少しでも彩を付ければいいっと思って買ったんだが。つい、ネタに走ってしまったぜ・・・もっともそのおかげでいいものが見れたが。


「それでシンに~さん、今度は何をプレゼントするの?」


 ふむ・・・そこまで服装に詳しくないからどうするかな・・・


「帽子にするか・・・」


「なんで帽子?」


「流石に帽子は下ネタにはならないだろうからな」


 二連続で下ネタをプレゼントしたら流石に本気で怒りそうだ。


「なら、モモが知っている、いいお店に案内してあげるね」


「こっちとしては助かるがいいのか?」


「うん、商品も結構売れたから、そろそろ店じまいにしようと思っていたからね。モモ御用達のお店を紹介してあげる」


 そして、モモに案内さた店は、どきついピンク色の壁をした、男一人では入るのがためらわれる外見をした店だった。中に置かれている商品は冒険用の品はなく、ファッション用のかわいらしい品だけが置かれていた。


「・・・色々あるな」


 やばいな、どんなのがいいのか全くわからん。むしろ、自分の場違い感がすごく、落ち着かなくって不自然なまでにキョロキョロとあたりを見回してしまっている。いや、むしろこんなファンシーな店で平然と買い物ができる男がいたら見てみたいわ。


「クスクス、シンに~さん挙動不審すぎだよ。所で渡すプレゼントなんだけどこんなのはどうかな?」


 モモが見せてきたのは、白いベレー帽だった。多分ユウキに似合いそうなデザインだったのでこれにすることにした。ついでにモモにもお礼として何か買ってやるっと言ったら、モモは「じゃあ、モモはこのヘッドドレスがいい♪」っと自分が選んだものを持ってきた。


 仲直り用のプレゼントを買ったあと、モモと二人で街をぶらついていたら、多くの人間がドタドタと走って門の方角に行っていることに気付いた。


「なんか慌ただしくないか?」


「そ~だね、誰かに聞いてみようか」


 この集団について誰かに聞いてみようと思っていたら。丁度、バンチョウが通りかかってきたので、この集団は何なのか聞いてみた。


「オッス、バンチョウ。周りが慌ただしいけど何かあったのか?」


「シンヤか! 丁度いいお前も来い!」


 そう言われたので、走ってバンチョウに着いていき事情を聞いた。


「っで、結局何があったんだ?」


「最近どうもオーガの討伐系の依頼が多いと思ったが、どうやらオーガの上位種が大規模な群れを作っていたらしいんだ。そして、その群れが現在このエレウシスに向かって進行中だから、手の空いている冒険者は至急迎撃に向かうようにいわれたんだよ」


「マジか! けどそれってギルドでカードを受け取らなくてもいいのか?」


 戦ったけど、クエストカードが無くて報酬無しなんていやだからな。


「ああ、自分の冒険者カードにマナを込めてみろ、それに緊急依頼を受けるか出ているだろう」


「あ! 本当だ」


 カードにマナを込めるとウインドウが表示され緊急依頼を受けるかどうか書いてあった。


 依頼・オーガの群れの撃退

 ランク・-(緊急依頼のため誰でも受けることが可能です)

 依頼主・冒険者ギルド 

 内容 上位種に率いられたオーガの群れがこのエレウシスに向かってきています。手の空いている冒険者は兵士たちと力を合わせてこれを撃退してください。


 どうせ、暇だったし当然俺はこの依頼を受けた。バンチョウ達に誘われたので今回はバンチョウ達と組んで依頼に当たろうと思っていたが隣で並走していたモモが何かに気付いたかのように「あっ!」っと声を上げていた。


「どうしたモモ?」


「大変だよシンに~さん! もしかしたら今ユウね~さんがピンチかもしれない!」


「どういうことだ!?」


 モモに事情を聞いてみると、どうやらユウキはモモの露店を覗いている時、ネロっというプレイヤーに誘われて二人でオーガ討伐に出かけていったらしい・・・クソ! まさかのNTR展開か! 確かネロって奴は冒険者ギルドであった奴だよな。気弱そうにしてやがったが意外と手の速い奴だな。


「そういう事なら、バンチョウ! 悪いが先行させてもらうぞ」


「おう! さっさと嬢ちゃんを助けに行ってこい!(オーガの群れから)」


「任せろ! 必ず間に合わせて見せるさ!(NTR展開から)」


 俺はオーラを温存することをやめ、最短距離を駆け抜けるため《駆爪》で壁を駆けのぼった。


「シンに~さん、これを!」


 そう言って、モモは俺に向かってオーラポーションの束を投げてきた。


「助かる! 後で代金は必ず返す!」 


 オーラポーションでオーラを回復しつつ、屋根の上を《縮地》で門に向かう人の群れを追い越すように駆け抜けていった。


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