セカイのオワリを
不思議な少年と“オバケウサギ”が様々な人とかかわるお話。
一話完結で、どこからでも読めます。
今回は、悲しいお話……。
セカイのオワリを
泣いていた。
女の子だった。僕と一緒ぐらいの。
「どうしたの? お迎えが来ないの?」
夕暮れ時の公園にはお迎えに来るお母さん、「ばいばい」の声があふれていた。
「お腹痛いの? それとも頭?」
「違うの……違うの」
女の子はつっかえながら僕の言葉を否定した。でも、何か話そうとしてまた、泣き出しちゃったから……僕は女の子の隣のブランコに座った。
だんだんと沈んでいく夕日を見ながら、女の子が話してくれるのを待っていた。
「……っく。……どうして、側にいるの?」
「キミが寂しそうだから」
「……」
「世の中にはね、願いを叶えてくれる妖精さんがいるんだって。キミは信じる?」
「……キミ、キミって……なんだかくすぐったいよ。あたしはハルカっていうの」
「そう。よろしく、ハルカ」
僕はにっこりと笑って手を差し出した。
でも、ハルカはその手を握らなかった。
「……握手? しないの?」
「……名前、君も名乗ってよ」
ハルカは可愛い女の子だった。くりくりした大っきな瞳で僕の事を見つめてくるから……
「どうしたの? 顔、赤いよ」
「……レン――――って言うんだ」
とっさに僕は名乗った。そんな名前じゃないけど。
「レン、君? よろしく」
ハルカは、やっと僕の手を取ってくれた。
「これで、レン君とあたしは友達だよね?」
「そうだね」
「……良かった」
「ハルカはどうして泣いてたの?」
「……秘密」
遠くからハルカを呼ぶ声がした。
遠くでよく見えなかったけど、たぶんおじいちゃんだと思う。
「じゃあね」
「うん。さようなら」
ハルカはブランコから立ち上がった。「ばいばい」と手を振ると走って声の主の所へ走って行った。
空はすっかり藍色に染まっていた。
♪
しくしく
まただ。
また、ハルカが泣いていた。
また、頭の上のオバケウサギが何事か呟いていた。
「夢……?」
僕はベッドの中でゆっくりと目を覚ました。
何故か頭がはっきりしている。
どうして、ハルカは泣いているの?
♪
夕方。
また、あのブランコには一人でハルカがいた。
「こんにちは、また会ったね」
先に気が付いたのは僕。
ハルカが顔をあげると、その顔は涙に濡れていた。
「……世界なんて崩壊してしまえば良いのに」
ポツリとハルカはそんなことを呟いた。
「どうして?」
僕は隣のブランコに座って少しこいでみる。
キィ、と小さな軋みを立ててブランコは動き出した。
「……だって、誰もあたしを必要としない世界に、あたしが居たって何が出来るって言うの?」
「キミの世界はキミが居ないと成立しないって知ってる?」
「あたしの、世界?」
「そう。……ハルカの願いは世界の崩壊?」
「そうだよ。こんな世界……」
「だから、泣いていたんだね」
「……そう。この世界を憂いて泣いていたの」
ハルカは妙に大人っぽく、この世界の事ならなんでも知っているかのように呟いた。
頭の上のオバケウサギが素敵な考えを口にした。僕はそれに小さな声で「そうだね」と答えてからハルカに告げてみた。
「その願い、叶えてあげる」
「え?」
「簡単だよ。あそこにおっきなビルが見える?」
僕が指さしたのは、この町で一際大きなビル。ここからなら遠くない所にあった。
「見えるけど……」
「あそこの屋上からね、飛び立てばいいんだ。それだけでキミの願いは叶うよ」
「……本当に? 本当にそれだけで世界のおわりが来るの?」
「うん。本当の事」
「……」
ハルカは黙って考え込んでいた。
今日は空が藍色に染まってもハルカにお迎えは来なかった。
「帰らないの?」
「……帰りたくないの」
「女の子がこんな所で、一人でいちゃ危ないよ?」
「……レン君が一緒にいるでしょ」
レン君? ……あぁ、そうか。僕の名前か。
「それとも、レン君はもう帰っちゃうの?」
「ううん。ハルカが望むならここにいる」
「……ありがとう」
そらに星たちが瞬き始めた。
ここは光害の影響を受けて、星が良く見えない。
「あたし、星って好きだよ」
「……」
僕の目線に気が付いたのかハルカも空を仰いでいた。
「空も好き。空を飛びたいの」
「じゃ、願いが二つも一気に叶っちゃうんだね♪」
「……そうだね」
キィっとブランコが音を立てる。
「それじゃ、あたし行くね」
「……僕もついて行こうか?」
「大丈夫だよ。一人で行けるよ。じゃあね、レン君。……さようなら」
「ばいばい」
ハルカは哀しそうに笑うと振り返らずに走って行った。
♪
『昨夜未明、高層ビルの近くから少女の遺体が発見されました。そのビルの屋上には少女の靴と思われるものが残されていました。警察は自殺と……』
朝、電気屋さんのテレビからそんなニュースが聞こえてきた。
ハルカにとっての世界は終わった。
そして、ハルカは大空に飛び立った。
こうしてハルカは願い事を二つも叶える事が出来たんだ。
君の世界。
君の世界は君がいないと成り立たない。
君の世界では、君が全てであり、僕は君の世界の住人。そして通りすがりの人。
君の世界では、僕は君の世界の住人だけど、僕の世界では君は、僕の世界の住人。
そう。世界は一つじゃない。
え? じゃあ、世界自体は誰の世界なのかって?
そんなの決まってるじゃないか。
この世界は、結局はカミサマの世界なんだ。
僕らはみんな、カミサマの世界の住人さ。
セカイのオワリを
おしまい
こんばんは。はじめましての方は、はじめまして、そうでない方は、ご無沙汰ぶりです。無月華旅です。
前回の投稿から、約二か月……。時がたつのって早い。怖い。
学校の課題をこなしていたら、こうなりました。言い訳でございます。
これからは、どれかの作品を月に一度は更新できたらいいなぁーとか思っております。……新年の抱負にしようかな。
発表が今週で終わるので、学校の方も一段落です。
最後になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます。感想、待ってます。
ではでは、また次回お会い出来ますことを願って。