知人
朝靄の中で
すれ違う人がいる
電車の中で
隣に座る人がいる
同じ空間の中で
時を過ごす人がいる
さり気ない言葉を
交わす人がいる
義務的な話を
やり取りする人がいる
いつも見かける
ただそれだけの人がいる
沢山の人が
暮らしている場所で
どれだけの人と
知り合うことができるのか
ただ、純粋に
知ることができるのか
見かけだけでは
知ることのできないことは
本音と建前の向こう側
一億二千万人の中で
どれだけの人と
ただそれだけの言の葉を
交わすことができるのだろう
夕闇の中で
家路を急ぐ人の群れを眺めて
青信号を待つ
増えていく人の波に揺られて
そんなことを、考える