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魔王ん家の平和な?日常

 * 魔界 魔王城 ※



魔王「……ん?それはなんだ?」

側近「ああ、これですか?見ての通り看板ですけど」

魔王「看板?何のためのものだ?」

側近「主に身長の低い民たちのためのものですね。立ち入り禁止と書いてあります」

魔王「……何のために?」

側近「…そうですねえ?小さいものが外の村に近付くのは危険なのですよ。ですから、小さき者たちの安   全のための看板です。これを外の村に続く道にぶっさすのですよ」

魔王「そうか…」

勇者「あー…。おっちゃんの結婚式、明日だもんなあ」

魔王「……そうか」


勇者「……なあ、おい。イケメン魔王大丈夫か?」

側近「あの姿になると無口になるのはいつものことです。あとは…まあ、思春期だということで…」

勇者「立派な大人にしか見えませんが」

側近「本来は思いっきり子供ですからね。ここしばらくの観光旅行で書類もたまっていましたし…」

勇者「……あぁ…」


子供「おはよー魔王様―!何かお手伝いすることないー?」


魔王「……!」

勇者「魔王?なに逃げてんだ?」

側近「……まあ、色々あるのでしょう。そっとしておきなさい」

子供「あっ、灰芽お兄ちゃん!魔王様のノリさん、おはよーございまーす!」

勇者「おはよ、河太郎」

側近「おはようございます、河太郎君」

子供「魔王様いるー?」


勇者「……えっと…」

側近「すぐ来ると思いますよ。今、魔具に魔力を移しているのでしょう」

子供「明日のやつー?」

側近「ええ。明日は中の村ですから、魔具を彼らが使えるように、魔力を込めておきませんとね」

子供「お手伝いするー!」

側近「待って下さい。ほら、河太郎君と遊ぶためにも、魔王様は余剰魔力を処理しないといけないので、   魔具に使うのはうってつけなんですよ」

子供「あーそっかー。魔力が多いと大変だねえ?」

側近「ですから、そうですね…。向こうの部屋に明日お祝いで持っていく荷物があるのですが……」

子供「あーわかったぁ!リストを作ればいいんだね?」

側近「ええ。お願いできますか?」

子供「はーい」

勇者「あ、じゃあこれも向こう持ってっとくか?」

側近「そうですね、お願いします」

子供「お兄ちゃんも行くのー?」

勇者「ん、まあな」




側近「……河太郎君、行きましたよ」

魔王「…うん」

側近「…ああ、その姿になっても、隈は隠しきれませんか」

魔王「心配させたくない…」

側近「わかっていますよ。回復魔法をかけますから、早くこちらに」

魔王「ありがとう」


側近「河太郎君に兄貴風吹かせたいのはわかりますけど、無理はほどほどにしてくださいね」

魔王「う~…。だって、勇者さんに負けちゃいそうなんだもん…。僕はあと二百年もしたら、河太郎に年   齢でも負けちゃうのに……」

側近「河太郎君は、モテモテですね」

魔王「勇者さんは名前で呼ぶのに、僕は名前で呼んでくれないんだもん…」

側近「生まれた時からあなたが魔王の時代の子ですからね」

魔王「わかってるけど~…」

側近「可愛い弟を持つと、お兄ちゃんは大変ですね」

魔王「お兄ちゃんかー。……すっかり忘れてたけど、うちのお兄ちゃん元気かな?」

側近「魔王様……ご自分の兄弟くらい、覚えておいてあげなさい……」

魔王「無理」





勇者「そういえば、お前、魔王みたいに外見変えてないのか?」

子供「僕?変えないよー。魔王様やノリさんたちが見た目変えるのは、魔力を消費するためだもん」

勇者「魔族はみんなしてるわけじゃないのか?」

子供「みんなできるけど、日常的に使ってるのは魔力の大きな人たちだけだよ。僕なんかは、あんまり魔   力持ってないから、テレビとか、洗濯機とかの魔具を使えば問題ないくらい?」

勇者「…あー。ますますわからん」


子供「それより、お兄ちゃんが持ってる小さいの、なに?」

勇者「ん?これか。小さい魔界の住民のための看板だって。外の村立ち入り禁止の」

子供「そっかー。危ないもんねー」

勇者「外の村って、人間の村なんだろ?中の村とどう違うんだ?」

子供「中の村はね、自分たちのこと、魔族って認識してる人たちの住んでるとこ。人間しか住んでないの   は、他の魔族と結婚した人がみんな外に出てっちゃうからだよ」

勇者「…なんつーか、過疎化が進んでますね……」

子供「でもねー。外の村の人たちは違うの。とっても怖いの。自分たちは人間だからって、ひどいことた   くさんするの」

勇者「そんなに嫌なら、なんで魔界に住んでるんだ?」

子供「人間の世界で生きられなくなって、魔界に逃げてきた人たち。でも、僕らと一緒に生きることは拒   絶した人たち。あの人たちにとって、僕らは平等な命じゃないんだ」

勇者「……それ、は」


子供「あ!これでリスト最後だよ、お兄ちゃん!」

勇者「……こういうのは目録って言うんだよ」

子供「もくろくー?」

勇者「そ。そろそろいいか…。戻るぞー」

子供「はーい。あ、お兄ちゃん、その看板、僕帰りに立ててくるー。貸してー」

勇者「いや、危ないだろ」

子供「だって、明日じゃ遅いかも知れないじゃんか―」

勇者「……それもそうか。じゃ、青眼鏡に聞くか」

子供「貸してー。見たいー」

勇者「ん。ほら」

子供「わー、ちっちゃいー!」




魔王「河太郎、おはよう」

子供「あー魔王様!おはよう、お仕事終わったの?お手伝いに来たよ」

魔王「テリヤキのご飯取りに行くんだけど、河太郎手伝ってくれる?」

子供「いーよー。行こう」

魔王「ありがとう。じゃ、行ってきます!」

子供「いってきまーす!」

側近「いってらっしゃい」

勇者「気をつけてなー!」





側近「……ふぅ。行きましたか」

勇者「行ったな。お疲れ」

側近「あなたもね。……本当に、勇者が並の人間でなくて助かりましたよ…」

勇者「いや、あの量魔王にさせるとか無理だろ」

側近「できなくはないと思うのですが、まあ、酷ですよね…」

勇者「そう言ってほとんどお前がやるのも無茶だろ…」

側近「助かりました、本当に……。まさか勇者が内政までできるとは…」

勇者「身内にそれで忙殺されてる人がいるんだよ。よく手伝ってたからな…」

側近「あれだけできれば独裁者でも善政でやっていけます。勇者、勇者を廃業して、こっちに越してきて   政治を手伝いなさい」

勇者「命令形!?俺の意思は?」

側近「大工のほうがいいのですか?」

勇者「…その二択ですか」

側近「両方でもいいですけど…」

勇者「……考えとくわ」

側近「頼みましたよ」

勇者「おう。…でも、ま…」

側近「……まあ、とりあえず、今は」

勇者「全力で休もう……」


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