忘れられる人々
*人間の世界 王子ん家 *
姫 「…忘れられている気がしますわ……?」
侍従1「?姫様、どうかなされましたか?」
姫 「いえ、何か……。わたくしたち、忘れられている気がしませんこと?」
侍従2「誰にですか~?勇者様にですか?それとも……殿下?」
姫 「…どちらも否定できないところが、あれですわね…」
侍従1「…あれ?ですか?」
侍従2「まあ、殿下が一向に元に戻らない以上、こっちは何も変化ないですからねー」
姫 「所詮は脇役の扱い…ということかしら……?」
侍従1「まさか!殿下に限ってそのようなことがあるはずございません!」
姫 「…え?」
侍従2「……また始まった…」
侍従1「殿下は、主役となるために生まれてきた存在なのです!」
姫 「…ねえ、あなた、どう思って?」
侍従2「…勇者様、という存在がいる以上、主人公はそっちだと思うんですよね」
姫 「ですわよね?」
侍従2「はい」
侍従1「…ですから、この状態さえ何とかなれば、チビで何のオーラもない、役立たずの勇者など、必要 無くなるのです!」
姫 「御高説、もっともですわね」
侍従2「早く殿下が戻られるといいですねー」
姫 (よく、こんなに勇者を貶められますわね?)
侍従2(先輩の言ってること、ほとんど殿下がいつも勇者様に言ってることなんですよ)
姫 (……わたくし、ちょっと勇者がかわいそうになってきましたわ…)
侍従2(出来のいい勇者様に対して、嫉妬でもしてるんだと思ってあげて下さい)
姫 (…子供ですのね……。情けないですわ、殿下)
侍従2(ですよねー?)
侍従1「お前、姫様にあまり近付くな!」
侍従2「え?ごめんなさい…」
姫 「あら?どうしてですの?」
侍従1「姫様は、殿下と御婚約を…」
姫 「破棄しましたけれど」
侍従1「……え?」
侍従2「え?知らなかったんですか?」
姫 「陛下にも、許可をいただいていますわ」
侍従1「え?なんで……?」
姫 「なんでって…」
侍従2「普通、あんな状態の殿下見たら、婚約破棄は当たり前でしょう?」
侍従1「野性的で素敵だと思えばいいではないですか?」
侍従2「そんな当たり前でしょう?みたいな顔で言われても…」
姫 「無理ですわ!」
侍従1「???」
侍従2「本気で理解できないって顔しないでください!」
姫 「それに、わたくし、ほかにお慕いしている方がおりますの」
侍従1「あり得ません!殿下より素敵な男性など……ハッ!?もしや、女性なのですか!?」
姫 「なぜそうなりますの!?」
侍従2「先輩、落ち着いて下さいよ!」
侍従1「なりません、姫様!殿下は生物的にこの世界で一番なのです!」
姫 「…本気でおっしゃっていますの?」
侍従2「間違いなく本気でしょうねえ…」
侍従1「勇者の無能!早くお前が帰ってこないから、殿下が評価を下げられてしまうではないか!」
姫 「…勇者は関係ないのですけれど……」
侍従2「申し訳ありません、姫様。この人たち、自分に都合の悪いこと、いつもこんな感じなんです」
侍従1「勇者、早く帰ってこーい!」
姫 「まあ、それだけは…」
侍従2「同感ですけどね……」
彼らのターン終了
本編に戻るまで出番なし