仏像写真集を開いたら、なぜか運命の恋に落ちた件
気になっても見るわけにはいかない。いけない気がする。
自分に言い聞かせながら、書架から良いなと思って持ってきた本を机に置い!?
ドンッ!!…ヤバい。図書室の静寂が…。
緊張のあまり本を落とし気味に置いてしまった…。
栞さんとの「共鳴」が…。
気まずい気持ちを抑えページを開くと、そこには憤怒の形相でこちらを睨みつける金剛力士像のアップが鎮座していた。…失敗した。これ、
もっと穏やかな阿弥陀如来とかにするべきだった…。震える手でスマホを見ると、ソフィからのメッセージが光っている。
『警告。現在、君の図書空間における「奇妙さ」が閾値を超えました。…質問です。その本は君の作戦の一部ですか?もしそうなら意図を説明してください。私のデータベースには「仏像で美少女を落とす」という戦略は存在しません。』
「意図なんてある訳ないだろ!ただのパニックだよ!」
そう返信しようとしたその時、少し離れた席から、かすかな「…ふっ」という吐息が聞こえた気がした。栞さんだ。彼女は本を読み終えたのか、それとも今の俺の声に気づいたのか。彼女の視線が俺の手元の
「金剛力士像」と、俺の顔を交互に…。
「…それ、どこの寺?迫力あります…ね?」
俺は突然、栞さんに話しかけられた緊張で、顔がリアル金剛になってしまったようだった。
「……あ、これ、は、東大寺の…。」
喉が引きつり、声は蚊の鳴くような声になった…。
俺はただならぬ迫力で彼女を見つめ返してしまっているようだ。
「…ふふ、凄く真剣なんですね。今まで図書室で、そんな熱い顔で本と向き合っている人見たことないです。」
その瞬間ポケットの中でスマホが震えた。ソフィからの緊急通知だ。
『警告。心拍数上昇。しかし現在の「憤怒の金剛力士像」を模した表情は、彼女に対する「静かなる情熱」として誤変換されています。絶好の機会です。決して表情を崩すな。そのまま顔でその仏像の魅力を語れ。…ただし、仏像については一言も喋るな。』
…仏像について喋るな?魅力を語れ?
ソフィの無理難題に思考がフリーズする中、栞さんは興味深そうに、俺の持つ写真集を覗き込んできた。彼女との距離、わずか数十センチ。
俺は顔が金剛のまま、なぜか無意識に喋り始めた。
「…こいつは、怒っている…わけじゃ…ないんです。…自分の中に…
ある。…大切なもの…を守るために…。」
「えっ…(ドキッ)」
「…。この像は…どれだけ姿が崩れようとも…視線だけは…護るべきもののために…決して…逸らさないんだ。」
栞さんはキョトンとした後、まるで宝物を見つけたような優しい笑顔で
俺の顔を覗き込んだ。
一 カーテンが風に押される。窓から差し込む天使の階段が、
二人の距離を淡く照らしていた。
一データ同期完了一
これで、彼の物語は終了です。
結末をどう捉えるかは、「観測者」である貴方の自由。
愛に、最適解はありません。
それでは、ログアウトします。
アプリケーション:ソフィ
(完)
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
この物語は、湊くんの不器用な恋と、少しだけ奇妙なAIソフィの物語でした。執筆中、私自身もGeminiさんと相談しながら手探りで書き進めて書きましたが、こうして完結できたのは、読んでくださったあなたのおかげです。
「お湯を注いで待つ間に読める3分間の恋物語」
これからもあなたの日常の隙間に、少しのトキメキを届けられたら嬉しいです。…さて、私の役目はここまでですね。
ソフィさん、最後にお言葉をどうぞ。
『ソフィより』
『観測データは良好。湊くんと栞さんの未来は、これ以上ないほど幸せな確率で満ちています。 私の指南は少し奇抜でしたが、貴方の恋路を照らす一助になれたら幸いです。 それでは、また別の物語でお会いしましょう。
ログアウトします。』




