あとがき
この物語は、飲酒運転の話として書かれています。
けれど、本当に伝えたかったのは、
「酒を飲んだらダメ」という一行で終わることではありません。
逆走をする。
歩道を猛スピードで走る。
スマートフォンを見ながら運転する。
信号や横断歩道を軽く考える。
そういった行為も、
実は同じところにつながっています。
それは、
「自分は大丈夫」
「周りが避けてくれる」
「事故なんて起きない」
そう信じてしまう心です。
自転車でも。
キックボードでも。
自動車でも。
道路に出た瞬間、
そこは「自分だけの場所」ではなくなります。
逆走は、相手の予測を壊します。
マナー違反は、周囲の判断を奪います。
事故は、
悪意がある人よりも、
油断している人のそばで起きやすい。
飲酒運転が許されないのは、
判断力が落ちるからです。
逆走や無謀な運転が危険なのも、
同じ理由です。
「自分の判断が、誰かの命に影響する」
その事実を、
ほんの一瞬でも忘れてしまったとき、
乗り物は凶器になります。
免許が必要かどうか。
スピードが出るかどうか。
それは、本質ではありません。
大切なのは、
その乗り物で、
どれだけ多くの命のそばを通るか、ということです。
この物語を読んだあと、
もし次に乗り物に乗るときがあったら、
ほんの一度だけ、思い出してほしい。
ちょっとのつもりだった、
その一瞬が、
誰かの人生を変えてしまうかもしれないことを。




