す
自分のために、自身の名誉のために発したい気持ちは胸の内側にだけ、いつも。
降り積もる雪のようにただ積もるばかりだ。
僕の心は誰かの掃きだめか、肥溜めのように臭いもので埋め尽くされていく。
要らないよ。こんな心は汚いに決まっている。
早く吐き出さなければやがて全身に汚物が滲み出て、弱くて無垢なる者に吐き散らして、意味もなく善人様を傷つけて、罪に問われて打ち据えられて投獄されるんだけなんだ。
いっそ灰になってしまえばいい。
表現とは、こんなとき自分を守ることができるもののはずなのに。
いつの間にか自分で自分を傷つけて、蔑んで、壊している……、なぜなんだ。
彼らの様に声に乗せて軽快に自由に、なぜ発揮できないんだ? 僕だけ……。
僕だけ薄汚れている。呪いの類いなのか、これは呪縛なのか。
彼らの様に自在に使いこなせれば。時に人を傷つけることもあるだろうけど。
引いてはいつか誰かを守ることにも繋がる最強の兵法なのではないのか。
人間の生み出した言葉って。英知の結晶じゃなかったのか。
ふんっ。表現は応用力だとクラスの秀才くんがいつか自慢げに言っていたっけ。
僕には応用に至るまでの発想が足りないんだ。きっと生まれつきだよ。
なんでいつも肝心なときにいつも思うように声が出ないんだよ!