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こ
それにまだあいつらも、僕のことだとは一言も言っていないし。
確証もなしに決めつけて文句を言えば、被害妄想と取られかねない。
我慢してやるよ。翔太は正義! という名文句も世にはあることだしな。
だが明らかに聞こえよがしに発言しているのは判る。
僕もそこまで鈍感ではない。
次第に彼らは声を張り上げていく。何の憚りもなく。
「せっかくの夏休みだぜ? 補習なんてマジで勘弁してほしいよな……」
「クッソだるいぜ~!」
まだ続けるのか、その会話。
──だから、なぜ?
聞かぬふりはするが、嫌でも聞こえてくる。
わざわざ振り向いて目を合わせるのもアホらしいぐらいの戯れ言だ。
だけど耳を塞ぎたくはないんだ。
負け犬だと嘲笑されるようで腹立たしいからだ。
ここはガン無視でいいだろう。知らずのうちに僕も意地になっていく。