壊れかけた街【ある猫の終幕】
こちらは絵本にする予定だったお話なので、詩のような文章になっています。
要望があれば、ちゃんと一つのお話として作っても楽しいとは思いますが、今のところ予定はありません。
友人と共同で、漫画にするかどうか、話し合っている物語です。
いろいろと粗はありますが、微笑ましく読んでいただけると幸いです。
壊れかけた街を歩き続けて、もう、10年になる。
立ち並ぶ煙突からもうもうと煙は溢れ出て、空は暗く重い。
この道をずっと真っ直ぐ歩いてる。
あの子が乗った箱が向かった道だから。
近所の人が言ってたんだ。
『あそこの家は夜逃げした』って
僕は置いていかれたんだとも言ってた。
あの子はいつも泣いてた。
お父さんが怖くなってしまったって。
お母さんが毎日泣くんだって。
でも、僕にはいつも笑っていてくれたんだ。
だから…
壊れかけた街を歩き続けてもう、10年になる。
この街にたどり着いたのはいつだったか…
もうわからないけれど、あの子の匂いがしたんだ。
でも…もう、足が上がらないんだ。
僕は猫だから…君より寿命が短くて…
でもね…僕、幸せなんだ…君が笑ってくれたから
壊れかけた街を歩き続けてもう10年になる。
僕は君に会えなかったけど…でも…
僕はきっと幸せでいられる…
読んでくださりありがとうございました。
よろしければ他の作品もご覧いただけると嬉しいです。