表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/58

必要なものはなにもかも与えよう

他愛ない話をしていたら、商人が商品を持って到着した。


この商人は空間魔術が得意なので、自力で大量の商品を運んでくる。


びっくりするほど品揃えがいいのも魅力だ。


その全てが質のいいものだからね。


「やあ、久しぶり」


「お久しぶりです、公爵様」


「連絡した通り、子供を一人で養うから必要なものを一通り買わせてもらうよ」


「はい」


広間で商品を広げてもらう。


「とりあえず家具から選ぼうか。フォルトゥーナ、好きな家具を選んでいいよ」


「…好きも嫌いもないのだけど」


「あれ?そうかい?ならオレが選んであげようね」


フォルトゥーナな家具の好みもないらしい。


やっぱり虐げられて育った弊害なのかな。可哀想に。


ならばオレが一番良いものを選んであげようね。


「なら、この可愛らしいメルヘンチックな家具がいいかな」


「待って、わかった。私が悪かったわ。商人さん、私はこの白を基調としたシンプルな家具でいいわ」


「あれ、それがいいの?ならそれを貰おうか。はい、お代」


「ありがとうございます。いつもながらチップが多いですね…」


「まあまあ、いいから受け取って」


お金ならいくらでもあるからね。世の中に還元しないと。


でもそうか、十歳くらいに見えるフォルトゥーナだから可愛らしいものがいいかと思ったのだけど、シンプルなものが好きなんだね。


「カーテンや敷物はいかがします?お嬢様」


「カーテンは…カーテンと敷物も白がいいのだけど、変かしら」


「いえ、よろしいと思いますよ」


「あ、このチェス盤みたいな柄の敷物がいいわ。カーテンは無地で」


「かしこまりました」


そうか、フォルトゥーナは白が好きなんだね。


アルビノのフォルトゥーナには良く似合いそうだ。


「フォルトゥーナ、お部屋に必要なものは揃ったから次は服を選ぼうか。あ、これお代ね」


「ありがとうございます、公爵様」


「服は…どんなものがいいのかしら。私、わからないわ」


「じゃあ今度こそオレが選んであげようね」


今度はちゃんと選んであげよう。可愛すぎるよりシンプルなものが好きらしいから、フリフリヒラヒラは少ないシンプルなドレスを選ぶ。


フォルトゥーナも文句はなさそう。


色合いは、フォルトゥーナはアルビノだから正直結構なんでも合う気がする。


なのでいろんな色のドレスを選ぶ。でもなんとなくパステルカラーと言われる系統を多く選んだ。


いくつも服と靴を選んで、下着は流石にフォルトゥーナに選ばせて、ついでに装飾品もいくつか買って終わりにした。


「ありがとう、このくらいにしておくよ。はい、お代」


「こちらこそありがとうございました。また何か必要なものがありましたらよろしくお願いします」


「うん、よろしくね」


「商人さん、ありがとう」


「いえいえ」


そして商人が帰ると買ったものを使用人たちにフォルトゥーナの部屋にすることに決めた部屋に運ばせた。


部屋の掃除もフォルトゥーナと家具などを選んでいた間にさせているので問題ない。


「さあ、フォルトゥーナ。部屋が完成したからみに行こうか」


「ええ」


フォルトゥーナに手を差し伸べれば、小さな手がオレの手を取る。


「さあ、ここがフォルトゥーナの部屋だよ」


フォルトゥーナは部屋を見て目を輝かせる。


「いい部屋になったね」


「そうね、ありがとう。公爵様のおかげだわ」


「ふふ、それは良かった…ああ、そういえばちゃんと名乗ってなかったね」


フォルトゥーナに公爵様と呼ばれてそういえばと名乗る。


「オレはクリオシタ・ソッリーソ・アッフェット。クリオとでも呼んでよ。公爵位を賜っていて、二十四歳のお兄さんだよ」


「クリオ様」


「クリオ」


「…クリオ」


よし、満足。


うんうんと頷いていれば、フォルトゥーナが言った。


「…私はフォルトゥーナ。フォルとでも呼んで。見ての通りアルビノよ。年齢は十二歳」


「うん。よろしくね、フォル」


こうしてフォルとの生活が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ