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私に同情を向けていいのは、この変態だけ
「残念だったね。君が思っていたよりも、フォルはオレが好きみたいだ」
「ちょっと、泣きそうな子にトドメを刺さないで」
「ごめんごめん」
クリオは私を抱き上げる。
重くないのかしら。
「ま、そういうことだから諦めなよ」
「この変態!」
エンツァが泣きそうな顔で叫ぶ。
けれどクリオは余裕の表情で笑った。
「まあ、変態だよね。それは認めるよ」
「エンツァ、ありがとう。貴方がアルビノの私に偏見を持たないでくれたのは嬉しかった」
私がお礼を言えば、エンツァはびくりと肩を震わせた。
「フォル、あの」
「でも私に同情を向けていいのは、この変態だけ。私が愛するのもこの変態だけなの。ごめんなさいね」
私にフラれて呆然としているエンツァを置いて、クリオは屋敷の中に戻る。
その後エンツァをまた別の親戚のところに送る準備をして、エンツァはその日のうちに引っ越していった。
準備とか大丈夫だったのかしら。




