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たしかに私はアルビノだけど、それで嫌なことなんてないわ
「色々言いたいことはあるけど、アルビノだから虐待を受けるなんて間違ってる!」
「ええ、そうね」
「フォルが可哀想だ、そんなのおかしい!おじさまはどうしてフォルのアルビノを治してあげないんだ!」
エンツァは頭に血がのぼっているらしいので、冷や水をかけることにする。
「たしかに私はアルビノだけど、それで嫌なことなんてないわ」
「え?」
「だって、虐待を受けて育ったのも捨てられたのも、全てはクリオと出会うためだったのだと思うから」
「…フォル」
私はクリオが一番大切。
そんなクリオと出会えたのだから、これまでの人生に文句はもうない。
そしてアルビノであることをやめたいとも思えない。
そもそも治す方法なんてないけれど、あったところでその治療を受ける気はない。
少なくとも今の私にとって、アルビノであることもまたアイデンティティの一つだもの。




