エンツァに説明してあげる
「なあ、フォル。フォルは伯爵家の養子なんだよな?」
「ええ、そうね」
「オレの親戚でもあるんだよな」
「そうよ」
「だからおじさまに引き取られたのかと思ったんだけど、違うの?」
エンツァは戸惑っている。
だから教えてあげることにした。
「順番に話すわね」
「うん」
「私はアルビノだから、虐待を受けて育ったの」
「え…」
「戸籍すらなくて、外にも出してもらえなかったわ」
私の言葉にエンツァは固まる。
「ある日私は急に捨てられたわ。お人好しと呼ばれるクリオのところに」
「…そんな」
「屋敷の前に捨てられていた私を、クリオは拾った。クリオに引き取られてから、身体の傷も全て治してもらえて食べ物にも困らなくなった。暇つぶし程度に読書がてらの勉強も楽しめたわ」
「…そっか」
「そして私は、そんなクリオに求婚された」
私の言葉にエンツァはまた戸惑った。
「え、求婚?」
「ええ、私はそれを受け入れた。そしてクリオは私の戸籍を用意して、私を貴族の養子にして…婚約を結んだ」
「婚約!?」
「私が成人したら籍を入れるわ。わかった?」
「わかった、流れはわかったけど…酷すぎる!」
エンツァは興奮していて、少し面倒に思ったけれどとりあえず相手をする。




