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ヤキモチが嬉しいの
「とりあえずエンツァ、手を離して」
「え、あ…」
「クリオ、しゃがんで」
反応が鈍いエンツァの手を振りほどいて、クリオにしゃがんでもらう。
そして、その頬にキスをした。
「クリオ、これで安心したかしら」
「うん、まあ」
「ふふ、嬉しそうでなによりだわ」
クリオはエンツァの前だからか嬉しさを少し抑えようとしているが、どうしようもなく頬が緩んでいる。
そんなところも可愛いだなんて、私も末期ね。
「ごめんね、邪魔をして」
「いえ、いいの。そのヤキモチが嬉しいの」
「え」
「さあ、エンツァ。行きましょう?」
「う、うん」
クリオを置いていき、エンツァと二人になる。
きっとエンツァも、私に聞きたいことがあるだろうから。




