気安く触らないでほしい
エンツァと仲良くなったからとヤキモチを妬いていたら、フォルの方から抱きついてくれた。
そんなフォルが可愛くて機嫌が直った矢先のこと。
「フォル、次はあっちで遊ぼうぜ」
「ええ、いいわよ」
身体の弱いエンツァを気遣ってあげるフォル。
エンツァと仲良くなったフォル。
エンツァはやはり、そんなフォルを好きになったらしい。
フォルの手を取って庭に遊びに誘って、その頬は赤く染まっていた。
オレは我慢しきれず二人の前に出てしまう。
「フォル」
「どうしたの、クリオ」
「あ、おじさま。どうしました?」
「浮気はしないでって言ったでしょう?」
「え」
オレの言葉にエンツァは戸惑い、フォルはため息を吐いた。
「浮気じゃないわ。ただ一緒に遊ぶだけよ」
「エンツァはフォルの手を握って頬を染めた」
「…そう。でも私は浮気なんてしないわ。相手の気持ちまでコントロールはできないけれど」
「そうだけどさぁ」
ぐずるオレにフォルはまたため息を吐いた。
けれどその後微笑む。
「本当に仕方のない人ね」
それは本当にそう思う。
エンツァに対して、フォルに気安く触らないでほしいと心の底から思うのだから。




