別に彼に恋愛感情はないわ
「ふふ、貴方本当は意外と器が小さいのね」
「そうかも」
「でも安心して。別に彼に恋愛感情はないわ」
そう言って微笑むけれど、クリオは納得していない表情。
「そうは言うけど、エンツァの方はわからないじゃない」
「それはそうね。相手の気持ちなんてわからないものだわ」
「じゃあヤキモチ妬いちゃうのも仕方がないだろ」
むすっとしたクリオも、理由がわかれば可愛い。
けれど、私は本当に浮気なんてする気はない。
「クリオ、私は浮気なんてしないわ」
「知ってる。知ってても妬いちゃうんだ」
「もう、仕方のない人」
クリオを抱きしめる。
「え、フォル?」
「これが私の気持ちよ。わかるでしょう?」
私がそう言えば、クリオはやっと嬉しそうに笑った。
私から抱きつくなんてそうそうないものね。
「ふふ、わかる」
「でしょう?ならもう大丈夫ね」
「うん」
にこにこになったクリオに嬉しくなる。
「貴方、本当に私が好きなのね」
「当たり前じゃないか」
「ふふ」
大丈夫。
私も恋愛感情かどうかはわからないにしろ、貴方が本当に好きよ。
でも本当は、ちょっとだけ。
ヤキモチを妬いてくれたのが嬉しかったのよ。




