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オレの婚約者に悪い虫がついた
ある日、オレの婚約者に悪い虫がついた。
数日前のことだ。
急にあまり丈夫ではないらしい親戚の子供を預かることになった。
病弱な可哀想な子らしいので、預かるのに抵抗はなかった。
ところがその子供は、数日のうちにあっという間にフォルとの距離を縮めてしまったのである。
「フォル、浮気はダメだからね」
「浮気なんてしないわ。急にどうしたの?」
「フォルの婚約者はオレなんだからね」
「もちろんわかっているわ」
よくわからない様子で首をかしげるフォル。
親戚の子供…コシエンツァ。
フォルと年が近いからか、すぐにフォルと仲良くなってしまった子。
子供に嫉妬するなんて大人気ないかもしれないけれど、やっぱりヤキモチは焼いてしまう。
そんなオレを見てしばらく首を傾げていたフォルだが、気付いたようで言った。
「まさか貴方、エンツァにヤキモチ妬いてるの?」
「うん」
「あら…」
フォルは呆れた目をオレに向ける。
けれどしょうがないじゃないか。
フォルはオレの大切な婚約者なんだから。




