…わかっていると思うけど、私はまだ十二歳よ
「けれど…わかっていると思うけど、私はまだ十二歳よ」
「そうだね」
「貴方が私を望むとして、どうするつもりなの?」
「そうだねぇ」
「よくて愛人扱いが関の山だと思うのだけど」
フォルの言葉に首を振る。
オレはフォルを奥の玩具にするつもりもないし、他の誰かと結婚する気もない。
「フォルがオレを受け入れてくれるなら、フォル以外に妻を持つ気もないし愛人扱いなんてしないよ」
「じゃあどうするの」
「結婚しよう、フォル」
フォルもこの言葉は予想外だったみたいで、驚いた表情でしばらく固まった。
かと思えば深ーいため息をついて、それからこちらを見つめる。
「貴方の本気はわかったわ。私も…正直どういう意味かはわからないけれど、貴方を大切に思っているし貴方に執着している。一緒に居られるならそれでもいい。でも、貴方が変な目で見られるわよ」
いいの?と問われて即頷く。
他人がどうとかどうでもいい。
フォルを手放す気はないし、結婚してしまえばずっと一緒にいられるのだから結婚する。
「そう、貴方がいいならいいわ。でも、二十四歳の貴方はともかく十二歳の私はまだ制度上結婚は無理よ。十八歳まで待たないと」
「そうだね」
「それに、貴族でないどころか平民としての戸籍すら持たない私では…届けを出したところで認められないと思うけれど」
「伝手ならある。戸籍を得て、貴族の養子になって、それから婚約すればいい」
「あらまあ、私ったら破格の扱いを受けてしまうわ」
そこまでするのね、とクスクス笑ったフォルを抱きしめる。
「あら、熱烈ね」
「フォル、ごめんね」
「なに?もしかして自分のしたことをグルーミングとかだと思って罪悪感を抱えているの?」
「そんな言葉どこで知ったの?」
「もちろん書庫で」
ああ、本当にこの子は。
「まあ、もしかしたら本当にグルーミングの手口そのものかもしれないけれど…私は貴方がいないと生きていけないし、私は貴方に救われた。アルビノの私がこんなに満たされた生活を送れるのは貴方のおかげだし、私は誰になにを言われようと貴方に感謝しているの。どの種類の好きかは知らないけれど、本当に貴方が好きよ」
「それがまさにグルーミングってやつじゃないかなぁ。そんなつもりで拾ったはずじゃなかったんだけど」
「ただただ私を憐れんで助けてくれたのでしょう?なら結果こうなっただけよ」
「保護者としては失格だけどね」
「それはそうね」
クスクス笑って、それで済ますフォル。
その表情ひとつとっても可愛い。
たとえ世間的には良くないとしても、やっぱりこの子は手放せないと改めて思った。




