どうしてだろう、哀れんで拾ったはずなのに可愛くてたまらない
「遅れてすまんなぁ。大丈夫か?」
フォルがあんまりにも綺麗に微笑むから、今際の際なのではと焦って泣いたところでお爺ちゃん先生が来た。
「お、おお。泣いてどうした、そんなに悪いのか」
「フォルの身体がめちゃくちゃ熱いんだよ!」
「どれどれ…おお、これはいかんな」
お爺ちゃん先生がよくわからない魔術を使ってフォルを癒す。フォルの身体からよくわからないものが出てきて、お爺ちゃん先生はそれを魔術で冷凍保存した。
「うむ。これでもう大丈夫じゃろ」
「本当に!?フォルでも自力で治せなかったのに!?」
「んあ、嬢ちゃんフォルって名前なのか」
「フォルトゥーナよ。前回と引き続き、治してくれてありがとうございます、お医者様。背中の跡も今では綺麗さっぱりよ」
「よかったよかった。今回はなんでか知らんが殺人アメーバというモンスターに寄生されておったから追い出しといたぞい」
殺人アメーバってわりとヤバい危険度SSSのモンスターじゃなかったっけ。
なんでまたフォルに寄生していたんだ。
「ああ…庭に遊びに来ていた狐が体調が悪そうだったから治癒してあげたの。その時にきっと、寄生先を私に変えたのね」
「え、フォルなにやってるの!?」
「だって可哀想だったの。まさかモンスターに寄生されていたとは思わなかったし。狐は助かって、私も結果的に助かったのだからいいでしょう?」
「よくないよ!フォルがいなかったらオレ…」
今更フォルを失ったら、俺はおかしくなってしまう。
どうしてだろう、哀れんで拾ったはずなのに今ではフォルが可愛くてたまらない。
…でも、今それを伝えてもフォルは困惑するだけだろう。
とりあえず今は回復したばかりなのだし、混乱させてもいけない。
「…フォル、お願いだから自分を大事にしてね」
「ええ、わかったわ」
「本当にわかってる?」
「…はは、お前さん変わったなぁ」
なんかお爺ちゃん先生が微笑ましそうに俺を見てくるけど知らない。
「一応今日は安静にしておこうね、フォル」
「それがいいじゃろうな」
「わかったわ。ゆっくり休みます」
とりあえず大人しく休んでくれる気はあるようで、よかったと胸を撫で下ろした。
お爺ちゃん先生にはいつも通り多めのお金を払って帰らせたが、終始にやにやしてオレを見てくるからなんとも言えない気持ちになった。
フォルが大切で何か悪いか!




