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あの子が体調を崩した
あの子が体調を崩した。
あの子につけた侍女が慌てて報告してくれた。
ベッドで横になるあの子の元へ行く。
「フォル!どうしたの?大丈夫?」
「大丈夫よ。ちょっと熱が出ちゃっただけ。風邪じゃないかしら」
「お医者様は呼んであるから、到着まで少し待ってね!ああ、可哀想に」
「そんなに心配しなくても、別に平気よ」
なんでもないことのように言うフォルだけど、かなり熱が高いと侍女から報告は受けている。
「無理はしなくていいんだよ。強がらなくたっていい」
「本当に平気よ」
「…オレに出来ることは何かある?」
「なら、手を握っていて」
フォルの手を握る。
その温かさ…いや、熱さに驚き余計に焦った。




