お昼寝
「フォル、今日から一日一時間お昼寝をして休息を取ろうと思うんだけど、どう思う?」
「すごくいいと思うわ。貴方少し働きすぎだもの」
「そうかなぁ?まあいいや、それでその間、フォルにも抱き枕として付き合って欲しいんだけど」
「もちろんいいわよ。それが貴方のためになるのなら」
クリオの役に立てるのなら、頷かない理由はない。
抱き枕代わりになるのなんて、お安い御用。
「じゃあ、早速今からいいかな」
「ええ」
差し伸べられた手を取る。
クリオのお部屋に行って、二人でベッドに横になる。
「…すぅ、すぅ」
「入眠が早い」
クリオはベッドに入ってすぐ、私を抱きしめるとそのまま寝た。
よほど疲れているのだろう、半分気絶と言ってもいいのではないだろうか。
「貴方、そんなになるまで頑張っているのね」
おそらくは自分は恵まれているのだから恵まれない人のために頑張るのは当然、とでも思って出来る範囲のことを全てこなしているのだろう。
誰かのためになることであれば、手を抜くということをクリオはしない。
「そんな人だから私を助けてくれたのだけど…」
感謝している。
色々な物を与えてくれた。
安心を与えてくれた。
情をかけてくれた。
そんな貴方だから助けてくれて、そんな貴方だからこうして私は懐いてしまったのだろう。
「でもやっぱり、貴方にはもっと自分を大切にして欲しいの」
こっそりと回復魔術を使う。
これで身体は楽になるだろう。
こっそりと良い夢を見る魔術を使う。
これで夢の中でも満たされるだろう。
「少しは役に立てたかしら」
貴方にもっと幸せになって欲しいのよ。
貴方にもっと自分を大切にして欲しいのよ。
ああきっと。
これ以上貴方に懐いたら、私にとってはあまり良くないのだけど。
それでもね、私…きっと、貴方に懐いて幸せよ。
「んー、おはようフォル」
「おはよう。よく寝ていたわね」
「おかげで身体が楽だよ!フォル、ありがとう。それに良い夢を見られたんだ」
「それは良かったわ」
クリオは本当に楽になったようで、嬉しそうに笑う。
貴方のその顔を見られて本当に良かった。
でもそこまで疲れを溜め込む前に、自主的に休んで欲しかったのだけど。
まあ、これからは毎日一緒にお昼寝できるからいいわよね。
きっと、もっと貴方の役に立つわ。




