表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちょっと歪んだ性格の公爵様が子供を拾った結果  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/58

可愛くて仕方がない

可哀想なフォル。


可愛いフォル。


賢いフォル。


魔術書を片っ端から与えたら、フォルは三ヶ月で読破してしまった。


フォルは天才だというのは本当らしい。


「今やフォルに使えない魔術の方が珍しいよねぇ」


「はい、当主様」


「おまけに本人はアルビノだから魔力もたくさんあると来た。すごい逸材なんだろうね」


「ええ、お嬢様は本当に素晴らしいお方です」


「でも、本当にフォルがすごいのはきっとそこじゃないよ」


あの子は恵まれなかった子だ。


だからこそオレはいっとう大事にしている。


たくさんの物を与えられ、大事にされ、なのにフォルは「もっともっと」とは言わない。


オレが手を差し伸べた者の中にはそういう者も多かった。


もちろんそうじゃない者も多かったけれど、そういう者は逆にオレに忠誠を誓っている。


「フォルはさ、もっともっとと求めるのではなく、オレに忠誠を誓うのでもなく。オレに近い立ち位置で、オレに『お返し』をしようとしてくれる」


「それは…ええ、お嬢様の美点ですね」


こんな子は初めてだ。


可愛いフォル。


フォルといると、満たされているはずなのに欠落していたものが埋まるような感覚がある。


乾いていた部分が潤うような感覚がある。


「フォルを拾って良かった」


「当主様…」


「フォルに色々なものを与えてあげたいのに、フォルにたくさんのものをもらってしまっているね。オレももっとフォルを幸せに出来るように頑張らなきゃ」


「そうですね」


「差し当たっては、オレがフォルのために出来ることは何か無いかな」


必要なものはその都度与えてしまっているし、物じゃないならなにがいいだろう?


なにをしてあげられるだろう?


「では、たまには羽を休めてお二人でお昼寝などはどうでしょう」


「え?」


「当主様が執務に専念されている間は、お嬢様はお暇でしょう。魔術書を読破してしまいましたし、今手にとっている屋敷内の他の分野の本もそのうち全て読破してしまわれるでしょうから。当主様との時間が増えればお嬢様も喜ばれるかと」


「そっか」


確かにフォルなら喜びそうだ。


フォルは忙しくしているオレを時々心配してくれるし、休息を取るところを見せれば安心もできるだろう。


「なら、早速明日から毎日一時間フォルとのお昼寝の時間を作ろうかな」


「三時のお茶の時間もご一緒したらどうでしょうか」


「それもいいね!でもお前、フォルにかこつけてオレに休息を取らせようとしていない?」


にっこりと微笑まれた。


ヴィゴーレったらもう。


でもまあ、いい案だとは思うから採用するけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ