勝利を確信していたのに
公爵を呪い、国一番と謳われる魔術師たる私は気持ちよく眠りについた。
呪いに苦しんでいるところを助け、代わりにアルビノの少女をもらう。
なんて完璧な作戦だろう。
けれど気がついたら、寝苦しさに目を覚ました。
どうしたことかと思えば、私は口から何かを吐いた。
「おえっ!!!」
吐いたものは…大量の虫だった。
「な、なぜ!?…おえっ、おええええっ!」
何度も何度も虫を吐く。
そして気付いた。
呪い返しを受けたのだと。
「く、くそっ、おぇええええ!!!」
あの公爵、一体どんな凄腕の魔術師を雇った!?
いや、呪術師か!?
なんて男に手を出してしまったのだ、私は!
このままでは悲願を達成する前に死んでしまう!
「ぐうぅぬっ」
どうにかこうにか気力で浄化の魔術を使う。
しかしマシになるだけで虫を吐くのは止まらない。
それでもなんとか浄化の魔術を使いまくる。
だが魔力が先に尽きて、私は死を悟った。
せめて仲間に見つけてもらえるよう、今までの悪事を記した裏日記の最後のページに公爵の名前を書く。蠱毒を公爵に使ったのも書いてあるので、仲間ならそれで悟ってくれるだろう。
「志半ばでこんなことになるとは、口惜しや…おええええっ!!!」
やがて大量の虫が私の腹を食い破って出てきて、私はあまりの痛みに意識を手放した。




