侍女からみたお嬢様
私はピエタ。
五年前、男爵家で妾の子として虐げられていたところを、使用人として雇うという形でご主人様に助けられた。
今はご主人様が新たに手を差し伸べて、殊更に大切にされているお嬢様の侍女に抜擢していただいた。
お嬢様は最初こそ学がなかったものの、本人の希望で私が読み書き数学を教えたら一度説明したことはすぐに理解して一度で覚えてくださった。
お嬢様はいわゆる天才だった。そんなお嬢様に魔術書を読んでみたらどうかと勧めたら、屋敷内にあった魔術書を全部読破してそこから得た魔術を全て使えるようになってしまった。
「お嬢様はすごいです!お嬢様にお仕えできて私は幸せです!」
「ピエタ、大げさ」
これは放っておいてはいけないと、差し出がましいようだが私はお嬢様に礼儀作法やマナーなどを教えて差し上げるようになった。
お嬢様はそれもすぐに飲み込んだ。けれど、敬語を使えるのに使わないところは変わらない。
まあ、上位貴族の前でなければそこは大丈夫なはず。お嬢様はご主人様のお気に入りだから。
そう思っていたけれど、ある日お嬢様はとあるお方に頬を打たれた。
私が庇って差し上げなければいけないところだったのに、何もできなかった。
「お嬢様、本当に申し訳ありません…」
「ピエタのせいじゃない」
お嬢様は優しい。
私を叱責することすらない。
だからこそ私は、猛省してもっとお嬢様を守れるようにならねばならない。
私はお嬢様の侍女として、ワンランク上の侍女を目指して努力を始めた。
もっとお嬢様のお役に立てるよう、頑張ろう。




