1話
_____東京某所
魔獣「グルアァァァァ!!!」
市民「キャアァァァァ!!」
「ま、魔獣だ!」
「全員逃げろー!!」
ある日を境に、突如として日本国内で『魔獣』と呼ばれる獣が現れるようになってしまった。どんなに刃物で攻撃しようと、弾丸を打ち込もうと、霧の中を通ったかのように無効化されてしまう始末。
しかし、そんな魔獣相手に唯一対抗できる人間が現れた。それが、本作の主人公……
『甘音 主乃』である。
主乃「うっひょお〜! こりゃまた元気な子だ。」
と呑気に眺めている。こんな少女が倒せると思わないのもまあ無理はない。
「んー、攻撃特化だって言ってたしちゃちゃっと片付けちゃいましょーかっ☆」
そうすると、手の周りに黒い渦が出来て形を創っていく。そうしていく内に大きい斧になった。……まあなんとも悍ましいが。
この斧は『魔剣』と言い、魔力がとてつもなく込められた『煩雑』レベルの魔具である。創るのも難しければ服従させるのも一苦労。ただ主乃の場合は別。何故かって?
……造り方間違え“ちゃった”からである。
実際の、本当の魔剣と言うのも勿論強くて扱うのが難しいのだが、主乃の魔剣は別である。イヤ、本当に!
まず、デカい。
普通の斧のサイズを想像していただけるとより分かりやすいのだが、本来なら魔力を込める前の武器や道具とサイズも形もそこまで大差は無いものなのだ。しかし。主乃の魔力は普通の魔力よりも特殊であるにも関わらず、込める魔力の量を間違えたのだ。多く込めすぎた。その結果がこの見た目と威力。
身長よりもデカいしなんなら自我あるし。変な目付いてるからぎょろぎょろしてる。これを服従させる主乃の魔力とは……。
主乃「よっこらしょ。」スタッ
「スゥゥゥ……“魔剣・弐ノ型
轟“ッッ!!!」
魔剣を思い切り魔獣の上から叩きつけると、
「ドォォォォォン!!!!!!」
という凄まじい音が辺りを痺れさせ、魔獣は倒れていった。
主乃「うっへぇ、やりすぎ?」テヘッ
しかも手加減の仕方を知らないと来た。
主乃「うん、今日も平和だね☆ アッハッハ!」
こんな能天気そうな子が、この物語の、主人公である。