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ひねくれた新人作家
とある出版社の編集者は頭を抱えていた。新人賞選考書類の名前欄に書いてある、「辺周寺縛」が読めない。
せっかく手元に届いた作品な上、斬新かつ面白い作品を書く作家を逃すわけにはいかない。なので、編集者は金を糸目をつけずに「辺周寺縛」なる人物を探しだし、ひとつき掛けてやっと見つけた「辺周寺縛」に直接話しかけた。
(あなたの脳内に直接呼び掛けています。私の星の出版社に宇宙を漂流していたあなたの作品が届きました。私はあなたの作品を読んだ編集者です。ええと、あなたはなんとお呼びしたらいいのでしょう? 地球の辞書を調べても読めなくて)