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スランプ

あんなに輝いていた太陽がすぐに沈んでしまう季節になっていた。夏休みから始めた残練を4ヶ月たった今でも続けている。そのおかげか、みんなどんどん強くなっている。…私は以外は。みんなが強くなっていくのに対し私は反比例するかのようにどんどん落ちぶれていった。


私が打ったシャトルはネットに引っかかり力なく落ちていくばかり。ネットに引っかからないよう高くあげようとすると今度はスマッシュを打たれ負けてしまう。完全に八方塞がりとなっていた。こういう時こそ練習しなければいけないのはわかってはいるけれど私は遂に逃げ出した。


同じ部活の誰とも顔を合わせたくなくてわざと裏門から学校を出た。肌寒くなってきた初冬の黄昏時はなぜこんなにも心寂しく感じるのだろう。黄金色の空がますます私を締めつける。


「あれ?なんでお前いるの?部活は?」

ドキッとして後ろを振り向くと玲奈の幼なじみである先輩が立っていた。私はサボりだとは言えなくて口ごもった。

「あの、私は…えっと……」


なんで私はサボったのだろう。上手くならなくて嫌になったから?違う。それだけじゃない。どんどん上手くなっていくみんなを見て湧き上がるどす黒い感情。嫉妬、妬み、嫉み。でもそんなどす黒い感情に支配されている自分が1番嫌い。それにみんなは優しいから私を邪魔者扱いしない。私のせいでみんなを縛り付けて迷惑かけるのが申し訳ない。


私のごちゃごちゃした物が涙となって流れ出た。

「あれ、なんで……?」

泣きたくなかったのに…なんで…?

「お前たちって信用出来ないほど薄っぺらな仲だったんだな。何を思ってるのか知らないけどそれを言わないってことはあいつらのことも信じてないのだろ……今逃げたら、後戻り出来なくなるぞ」


私から言い出したことなのにこのまま全部捨てちゃって良いのかな……

アヤ、モモ、花恋、玲奈……優奈。皆の顔が頭に浮かんだ。ダメだ。戻らなきゃダメだ。私は先輩に一礼して体育館へ走った。


「あれ、のんちゃん遅かったね。もう走り終わっちゃったよ」

「何か係の仕事があったとか?」

体育館の入口近くで皆と会った。

「違うの。私、みんなみたいに全然上達しなくて、どうしたらいいか分からなくて……!!あんなに楽しかった部活が、今は辛い……助けて。私を助けて……!私1人、置いていかないで!!」

周りに人が沢山いるのに恥ずかしさは全くなく、私は泣き叫ぶように言った。


「知ってた」

返って来たのは優奈の思いもよらない言葉だった。

「え……」

「のどかが私たちと比べて落ち込んでたこと。毎日辛そうに部活に来ていたこと。私たちのを避けてたこと。全部知ってた」

私は罪悪感でいっぱいになった。みんなは信用されてないんだって思って傷ついたのでは無いか

「ごめん…私……」

「優奈はのんちゃんが話してくれるの待ってたんだよ『話したくなるまで触れないでおこう』って言って。話してくれてありがとう」


みんなは私を抱きしめてくれて、玲奈はアドバイスをくれた。

「素振りが身についてきてフォームは綺麗になったけど、まだ完全には出来上がってないんだと思う。今度はいつでもラケットの真ん中で打つ練習しよ。それと、素振りやフットワークの時にラバーをつけてやってみたらどうかな」


その日から玲奈に貰ったラバーをつけて練習した。真っ暗で何も見えなかった洞窟に遠くの方から一筋の光が差し込むようになった。


もっと早くに相談すれば良かったな……。辛いことがあってもみんなで乗り越えて引退の日までずっと一緒に居たい!!

ラバー→ラケットのガットの部分につけるカバーです。つけて素振りするとかなり重たくなります

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