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新人戦

夏の大会後、先輩達は引退し私達が部活を引っ張って行かなければならなくなった。

「部長 誰がふさわしいと思うか、2年全員の意見を聞きたい」

顧問からそう話があり、6人で話し合った。バドの経験が最も長い玲奈が良いのではないか。モモはリハビリ中、1年生と筋トレしていたため1年生との距離がもっとも近い。モモなら1年生もついてくるのではないか。私達の中でも二分化していた。

「モモは距離が近いっていうのもあるけど、もし後輩が挫けそうになった時、1番支えてあげられるのはモモだと思う。もちろん私も協力する。モモに部長になって欲しい」

玲奈がそう言ったのをきっかけに部長はモモ、副部長は玲奈に決まった。


夏休み、泣きそうな顔してついてきている1年生はとても幼く見えた。また、伸び代満載のその存在が脅威にも感じた。

……去年の私達もこうだったのだな……

たった1年前のことなのに懐かしく感じた。それと同時にあと一年しかないという現実も突きつけられた。部活ができる最後の夏休み、少したりとも無駄にはできないと、気持ちを引き締めた。


毎年恒例、鬼の合同練習で夏休みはあっという間に過ぎ去り、早くも新人戦の時期になった。私達の代になって初めての公式戦ということもあり、ワクワクした。放課後、いつも通り練習しているとモモの声で集合がかかる。


顧問がA4の白い紙を手にしているのを見て、新人戦の出場メンバーが発表されるのだと察した。1年生合わせて16人のため、全員出場できることはわかっているが、私の目標はそこでは無い。

「これより2週間後の新人戦の出場メンバーを発表する」

心臓がドクドクと激しく波打ち、息が詰まって苦しい。早く、早く発表して……。でも、それと同時に怖くもあった。

「女子団体、メンバーは若月玲奈、柊百花、志田彩花、泉優奈、大葉のどか。補欠は花園花恋」

自分の名前が呼ばれた瞬間、体の力が一気に抜ける。でもすぐに手足が震えてくる。

……やった!やった!全員で団体戦に出れるんだ!……

私達は目標に1歩近づいたのだった。


団体戦は試合ごとにメンバー内で誰がダブルスで誰がシングルスに出るか変えることもできるが、形を崩すことなく最善の状態で臨めるよう、シングルスは玲奈、ダブルスはアヤとモモのペア、私と優奈がペアで固定した。ダブルスのペアの息を合わせるために時間を費やした。ラリーが激しくなると攻める時の縦型の並びと守る時の横型の並びが出来ずバラバラになってしまうことが課題だった。大会前日、ようやく形を保てるようになった。

……よし、この調子でやればいける!!……

大会の雰囲気に飲み込まれた春季大会の時の私とは違う。3回目の大会ということや近くにみんながいる安心感もあってかのびのびと出来た。団体戦では応援の力も大きく感じる。私がミスして凹んでもみんなが奮い立たせてくれる。支えてくれる。攻撃が決まった時はより大きな応援の声に包まれる。そうか、私、大好きなみんなと戦っているんだ。私達は普段以上の力が出せたのかもしれない。1回戦目は全員勝利した。


だから、2回戦目も怖くはなかった。私達ならやれる。体はしっかり動くし、形が崩れることもない。なのに点差は全然広がらない。1点とってもすぐに追いつかれる。2回戦目の相手はとても手強かった。負けたら終わりの個人戦とは違い、団体戦では私達のペアが負けても残り3人勝てばいい。だから手強くても焦らない。アヤとモモのペアか私達、どちらかが勝てば大丈夫なんだから。私達には玲奈がいる。


そう、私達は玲奈は最強だと思い込んでいた。玲奈の存在に甘えていたのだ。


私と優奈の隣のコートでガチャンというラケットが落ちた音がした。顧問と花恋に支えられながらコートを後にする玲奈が見えた。玲奈を失った私達はとても弱かった。

……私達が勝たなければ……

そう思うのにどんどん相手との点差はひらいてあっという間に私達は負けた。


玲奈は前に足を踏み出した時に足を捻ったらしい。

「ごめん、アヤとモモは勝ったのに、私達のせいで」

「私が棄権なんかしなければ」

「2回戦目勝てたとしても、私が玲奈の代わりなんて出来ない。だから結果は同じだった。私が弱いのも悪い」

みんな、口々に謝罪の言葉を口にした。

「私達、玲奈に甘えてたんだよ。それがダメだった。私達1人1人が県大会に出場できるだけの力を身につけないと」

私の言葉にみんな深く頷いた。


次の日は個人戦だった。シングルスで花恋が3回戦出場し、みんなで喜んだ。花恋はシングルスでこそ力を発揮するタイプだったのだと気づいた。

「次の大会でまた6人で団体戦に出よう。私達のシングルスの候補が玲奈と花恋の2人もいて頼もしいね」

「今回の団体戦で棄権になったのはシングルスだったけどダブルスで棄権になってしまうかもしれない。そうなっても焦らないように、誰と組んでも大丈夫なように色々なペアで練習しよう」

「他の学校がアップの時間にやってた、1人がシャトルを投げてそれを返し続ける練習したいね」

「コートの端と端に1人ずつ立ってやれば、コートを広く使う練習になるよね」

「私達だけでやるのではなくて、部活時間内に1年生も巻き込んで一緒にやろうよ」

「なら私、部長として先生に提案しに行く」

大会終了後恒例となった6人だけの反省会。今まで以上に盛り上がった。まだまだ至らない所はあるけれど、着実に力がついてきていると感じることの出来る大会だった。

「次は絶対、県大会出場するよ」

「オー!!」



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