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元勇者はのほほんスローライフ中です

次は追放者の話になります!


 その頃クロノスは――ロゼと一緒に夕食の狩りに来ていた。


「あ! あそこにいたのじゃ!」


「おいおい。大声出すと飛んで逃げるだろ」


 ロゼの家から三十分程歩いた場所。

 少しひらけた岩山で、俺はロックバードを見つけると時を止めた。

 ロゼが叫んでしまったせいで飛んでしまったが、俺には関係ない。


(時間よ……止まれ)


 その瞬間――上空を飛んでいたロックバードは空中で静止し、羽を広げたまま硬直した。

 完全に静止した世界で、俺は手に魔力を込めて上空に狙いを定め――魔法を放った。


風弾ウィンドバレット!」


 手から放たれた風の弾丸は、上空で静止しているロックバードに当たり、首を切断する。

 う~む。我ながら最強だ。

 そして、これ見よがしにポーズを取って叫んだ!


「そして……時は動き出す」


 止まった世界の中だから誰も知らないけど、実はこんなことやってるんだよね。

 趣味だ。文句は言わせん。

 ドサッと目の前に落ちてきたロックバードを見てロゼは呟いた。


「う~む……流石じゃな! 久しぶりに見たが強すぎじゃろ。弱点あるのか?」


「あるわけないだろ。完全ノーリスクで無限に時間を止められるわ。それより早く羽を抜いて肉にしちまうぞ」


「やった! 今日は唐揚げじゃ! 二日連続で肉なんて幸せじゃ!」


「うるさい! 早く羽抜け! リベル……だっけ? 街に売りに行くんだろ?」


 俺はロックバードを倒しに行く前に、ロゼに羽を売る場所はあるかと聞いていた。

 酒と煙草を売って生活していると言ってたし、きっとそこで売れるだろう。


 その時、ロゼが言ってたのは……。


「近くに人間と魔族が入り混じった中立の街【リベル】があるんじゃ! そこで儂らは酒と煙草を売っておる!」


 との事。


 三年前。魔王を倒した後に出来た新しい街だから知らなかった。

 ここから歩いて1時間らしい。行ってみよう。


 〇


 中立の街【リベル】は、活気のあるいい街だった。

 人間と獣人が手を取り合い必死に生きている。


 聞いてみると、三年前の戦いで国や職を失った人たちが集まり、作り出した街なのだそう。

 酒や煙草の様なちゃんとした商品になると大きな商会で買い取って貰わなければならないのだが、羽くらいの素材だったらその辺の露店でも買い取って貰えるらしい。


「いらっしゃい! ロックバードの羽かい!? 羽一枚、銅貨一枚で買い取るよ!」


 現在俺とロゼは大通りに面した露店でロックバードの羽を買い取って貰ってる最中だ。

 威勢の良い獣人のおっさんが店長をしていて、ロゼがやってみたいと言うから交渉させている。


「ええ~! もっと高く買い取ってくれい!」


「う~ん……ごめんねえ。これ以上は高く買い取れないんだよ……」


「ええ~!」


(今の……交渉だったのか?)


「ダメじゃった~!」と、肩を落とすロゼを見て俺はため息を付く。

 こんなので高く買い取ってくれるわけはないだろ……。

 俺は小声でロゼに呟いた。


「いいか? こういうのは色気を使うんだよ」


 十分後。俺たちは一旦店から立ち去り、街を一回りすると【変化の指輪】を使って美女に変身した俺とロゼは、再び同じ店に来ていた。


 俺は胸元を少し開いて谷間を強調すると、ウインクをしながら獣人のおっさんに話しかけた。


「ロックバードの羽一枚、銅貨五枚で買い取ってくれない?」


「へっ……へへ……う~ん……しょうがない! 姉ちゃん可愛いからいいよ!」


 そして銅貨を受け取ると、ジトっと俺の顔を見てくるロゼに言った。


「な?」


「……お主……巨乳になっておっさんを(たぶら)かすのが趣味なのか?」


 ……二度とやらない事に決めた。

 うん。めっちゃ恥ずかしい。顔が真っ赤になってるのが分かる。


「うるさい!」


 とりあえず――姿を変えた。

 元の姿も恥ずかしいので『深紅の鷹』に所属していた頃の茶髪の姿だ


「……お主……マジか」

 ロゼはそれからこの事に一切触れなかった。

 なんだか、負けた気分だった。


 その後、俺たちは唐揚げ用の油を買って帰った。

 本当は、女の姿で買った方が安くなるんだけどな、もう一生しない。


 〇


「美味いのじゃぁ!」


「ううっ……二日連続で肉が食べれるなんてウチ幸せやぁ!」


「ううっ……こんなに贅沢……してもいいのでしょうか……美味しいです!」


「あっそ。良かったな」


 夜になったら幼女三人と唐揚げを食べながらの夕食。

 全く、俺は国賓だと言われたからここに来たのに、なんなんだこの状況は。

 来る前に思っていた状況と全然違うじゃないか。


(全く、どうしてこうなったんだか)


 俺は時を止めてこっそりと買っておいたケーキをアイテムボックスの中から取り出し、テーブルに置いた。


「……あー。アレだ……なんか間違えて街でケーキ買っちゃったわ。俺甘いもの食べられないし……お前ら食べるか?」


「やったああ! 食べるのじゃ!」


「ウチも食べる!」


「わぁい! ケーキ! 大好きです!」


 幼女たちがケーキを美味そうに食っている姿を見ながら思った。


(今頃……エレン達は何してんだろう……まだ生きてんのかな)

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