ノーム
ダンジョンの中に篭っていて気づかなかったが、外は朝の十時くらいの様だった。
時を止めた世界でローランの城に忍び込み、朝から執務作業をしているローランの前へと到着する。
「ローラン」
「うわっ! ……クロノス様!?」
盛大に椅子から転げ落ちるローランに、俺は製作したダンジョンの地図を渡した。
一階層の地図を広げ、ノームが描きこんだ道を指でなぞる。
「いろいろ話したいことはあるが……とりあえずは仕事は終わった。多分このルートが他国へと繋がるルートだ」
「ええ!? まさか見つかったんですか!? しかもこの方向なら王国へと繋がる最短ルートじゃないですか!」
「ああ……だがそれよりも……」
俺はゆっくりとソファーに腰かけると、奈落の洞窟で見たことを話した。
三階層で出会った強力なゴーレムの事。
四階層で見たノーム、そして大穴の事。
壁の中に現れた四角い空間と、恐らくそれを扱えるのはノームだけと言う事。
「……なるほど……そんなことがあったんですか」
「ああ……正直ノーム達が何を考えているか分からないが、少なくとも最終的には俺に敵意を見せなかった」
そして沈黙すること数分。
ローランは目を瞑り、ゆっくりと上を見上げると言った。
「しかし……王国までのショートカットは無視できません。あの奈落の洞窟は三階層以降の侵入を禁止にして有効利用させて頂きます」
「禁止にしたところで冒険者たちは勝手に入っていくぞ?」
「いえ、そこは仕方がないと諦めます」
ローランは強い口調でそう言った。
まあ、そうするだろうなと思った。
厳しい事を言うようだが冒険者も何人か死ねば三階層以降に入らなくなるだろう。
「一階層はゴブリンしかいないようだから、適当な冒険者に討伐して貰えればすぐに使える様になるさ」
そう言って俺が立ち上がるとローランは執務机から金貨百五十枚を渡してきた。
「ありがとうございますクロノス様。王国へのルートを見つけたと言うことで、色を付けさせていただきました」
「色を付けすぎだとは思うが……ありがとう。頂くよ」
俺はそう言うと時を止めた。
今回は予想外にいろいろなことがあったな。
この金以上の収穫があった気がする。
(さて、ロゼたちの元に帰ってゆっくりしよう)
〇
「ただいまぁ~!」
「やっと帰ってきたのじゃ! 遅いのじゃ!」
「うわ~い! クロノス兄さん!」
「クロノス様! おかえりなさい!」
家に帰ると、今か今かと待ち構えていた幼女たちに出迎えられた。
一日どころか一晩いなかっただけだろ。鬱陶しい。
いや、今はそれよりも土産話してやろう。驚くだろうなぁ。
「はいはい、ただいま。それよりもな? 奈落の洞窟で凄いのを見たぞ。なんとノームがいたんだ!」
リビングの椅子に座り、煙草を吸いながらそう言うとロゼが驚いた。
「え!? お主妖精族を見たのか!?」
「すげーだろ。ノーム達がゴーレムを作ってたんだぜ?」
「はっ……はえ~……そうじゃったのか……」
「黒くてな? ふわふわでな?」
『ピ!』
「うわー! なんやコイツ可愛いなぁ!」
「そうですね! なんだかピットちゃんに懐いているみたいですね!」
「そうそう、大体あんな感じで小さい手と足が生えてるんだ」
「はえ~そうなのか~」
俺はピットとエリザと戯れるノームを見ながら煙草に火を付けた。
ゆっくりと煙を吐き出しながら……むせた。
「ゲホッ! ゲホッ! ちょっ! なんでノームがここにいるんだよ!」
「ええ~!? あれがノームなのか!?」
「え!? こいつノームなん!?」
「ええ!? この子がノームですか!?」
『ピ!』
全員驚いて大声を出す中、ノームが小さい腕でキリっと敬礼のポーズをした。
おいおいおいおいおい! もしかして俺連れて帰ってきちゃったのか!?
仲間を連れ去られた報復としてゴーレム軍団が攻め込みに来ないよな!?
「ちょっ! ノーム! 元の場所に帰りなさい!」
『ピ~!』
外に指を向けながらノームに言うが、ノームはひしっとピットにしがみついて離れようとしない。
こいつ……自分の意思で着いてきたのか?
いや、だとしても……コイツは危険すぎる。下手に怒らせたらあの強力なゴーレムを作りかねない。
「……クロノス兄さん……ロゼ姉さん……ウチこの子飼いたい」
「ダメです!」
「良いぞ!」
「なんでだよ!」
速攻で却下した答えをロゼに覆された。
ロゼは指をピンと立て、エリザの作業机を指さす。
「じゃって、人手が足りないもん」
ロゼが指さす先には作りかけの煙草の束。
……確かに。
「ノームお主はゴーレムを作れるのじゃろう? 儂らの仕事を手伝えるゴーレムを作れるか?」
『ピ!』
すると、ノームは家の外へと出て行き俺の膝下くらいある小さめのゴーレムを作り出した。
しかも一匹だけじゃなく大量に。
『ピピ!』
ノームは十匹程作ったゴーレムに何かを言うと、ゴーレムはエリザの作業机の前で止まる。
エリザが作業机に駆け寄り、見本を見せながらゴーレムに話しかけた。
「えっと……こんな風に葉っぱを紙で巻いて貰う事出来ます?」
『ゴ』
「すげえ……出来るのか」
……少し考え、キッチンに向かいアイテムボックスから小鍋を取りだした。
ダンジョンの中でノーム達に食べられたシチューが入っていた小鍋だ。
まだ洗ってなくて汚い。
「これ……洗える?」
『ゴ』
その日から、ノームは俺たち家族の一員となった。
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