奈落のダンジョン3
大量のシチューを作り、幼女三人に抱き着かれながらダンジョンに行く準備をする。
とりあえず食料と酒と煙草とだな。それさえあればなんとかなる。
ピットとエリザから今日だけ特別に多く貰った酒と煙草をアイテムボックスの中に入れて、シチューを少しだけ小鍋に移してそれもアイテムボックスへ。
「いい加減離れろ! 俺はもう行くからな!」
「いやじゃぁ~!」
「いやや~!」
「いやです~!」
どうしても離れたがらない幼女たちには必殺の言葉を言うしかないようだ。
「いい加減離さないと時を止めて行っちゃうぞ! バイバイ出来ないんだぞ!」
「うう……それは寂しいのじゃ」
「クロノス兄さん……それは卑怯ですよ」
「そんな悲しいのは……いやです」
ようやく離れた幼女たちにしっかりとバイバイと言い、家を出る。
扉を開けて涙を流しながら見送ってくれているようだ。
別に今生の別れって訳でもないのにな。
……仕方ない。見えなくなってから時を止めて移動するか。
〇
ゴブリンの洞窟……改め奈落のダンジョン。
俺はダンジョンの前に着くとアイテムボックスから紙とペンを取りだしてマッピング作業の準備をする。
深紅の鷹時代では、荷物持ちついでにこういう作業もやってたからな、今では得意になってしまった。
「さて、行くか」
軽い気持ちで奈落のダンジョンへと足を踏み入れる。
ゴブリンの体臭と、糞尿の匂いで鼻が曲がりそうになる。
マスクも持って来れば良かった。
『ギッ』
「はいはい。死んでね」
聖剣でゴブリンを切り裂き、死体を炎弾で燃やす。
どうやら一階層は、ゴブリンの巣になっている様だ。
壁にはチラホラと松明がかけてあり、地面には何かの動物の死体とゴブリンの糞。
ゴブリンがここで生活している様子が伺える。
(しかし……ローランの話では定期的にゴブリンを退治しているようだったけど……多いなあ)
不思議な事に奈落のダンジョンは、誰かに見つかると一時的に活発になる。
そのくせ貿易の通路にしたり、一定数以上の冒険者が入りだすと急に静かになるんだ。
まるで通行であれば許すように、まるで諦めたように。
う~ん不思議。
(この古代文字がその秘密のカギになってるらしいんだけどな)
俺は壁に刻んである古代文字を指でなぞる。
今だ世界中の学者が研究しても意味を解読できない文字だ。俺に分かる筈も無い。
「よっしゃ! 大体終わった! これでいいだろ!」
五時間程ゴブリンのフロアを探索し、大体のマッピングは完了した。
まだまだダンジョンは広がりを見せているがこれ以上やっていたらキリが無い。
下の階層へと続く道も見つけたし次に進んでも良いだろう。
二階層
ここからは魔光石がダンジョンの壁から突き出していて比較的明るかった。
そして出てくるモンスターは……。
『ゴゴッ!』
「ゴーレムか、臭くないからお前らの事結構好きだぜ?」
俺はゴーレムを切り裂き、ここら辺で少し休憩にしようと砕けたゴーレムの破片の上に座って煙草を吸った。
(しかし結構ゴーレムが出てくるのが早かったな)
煙を吐き出しながら襲ってくるゴーレムに向かって魔法を放った。
ゴーレムは粉々に破壊され、動かなくなる。
奈落のダンジョンって言うのは十階層くらいまでは生物型のモンスターが出てくることが多い。
それ以上下がると突然ゴーレムの割合が増えて行って、オークキングやミノタウルス、下手すればドラゴンなんてのも出てくる。
そして150階層を超えると、200階層までは完全にゴーレムエリアになる。
しかもただのゴーレムじゃなくて、どこかの神を模したような強力なゴーレムや、隣を通り過ぎても攻撃してこずに永遠に土を掘り続けているゴーレムとか。
(別に二階層からゴーレムが出てこない訳では無いんだが……それだけって言うのはな……少し嫌な予感がする)
煙草を地面に投げ捨て、俺は二階層を探索し始めた。
そして五時間後――三階層。
「やっぱりかよ! 嫌な予感がしたんだよ!」
俺の視線の先には、ただひたすらに土を掘り続けるゴーレム。
明らかに奇行種だ。
コイツが出てくると言うことは……。
『阿』
『吽』
「ほらいたぁ!」
怒りの形相をしたゴーレムが出てきた。
昔201階層で見たゴーレムだ。速攻で時を止める。
「ふぅ~ん。へぇ~」
時を止めた世界でゴーレムを観察してみた。
よく見るとこいつら何か魔法か? 俺に向かって攻撃しようとしていた。
持っている金属の棒のようなものを俺に向けて、そこから炎が出ている。
「へぇ~こいつら魔法も使えるなんて珍しいな」
ひとしきり観察すると、ゴーレムに聖剣を叩きつけ、破壊していく。
うん。硬い。ガラム程じゃないけどめちゃくちゃ硬い。
そして時を動かし始めた。
『阿?』
『吽?』
ゴーレムは素っ頓狂な声を出してそのまま崩れる。
瞬間――周りで土を掘っていたゴーレムが動き出し、奥へと逃げ出した。
「んん~? なんだアイツら?」
一瞬にして三階層は無人となり、カラカラと掘りかけの土が落ちる音だけが聞こえていた。
「まあ……敵がいない方がマッピングは楽なんだけどな」
そのまま誰もいない三階層をマッピング。
非常に楽な仕事だった。
う~む。四階層が怖い。
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