奈落のダンジョン
ピットとエリザの商品が破壊されてから一週間が経った。
皆で破壊された店を作り直し……現在ピットとエリザは、ロゼと共に酒と煙草づくりに精を出している。
「ふっ……ぬぬぬぬ! あかん! しんどい!」
キッチンで昼飯を作っていると、地下の酒造部屋からピットの叫び声が聞こえた。
アレはピットがロゼが踏み潰した赤葡萄の果汁を大鍋でかき混ぜている叫び声だ。
(あれで酒が出来るんだからドワーフって凄いよなぁ)
と、野菜スープの味見をしながらピットに酒作りを見学させてもらった事を思い出す。
ピットの酒作りは正直人間から見ると無茶苦茶だ。
果汁をかき混ぜながら魔力を込めると、ピットの魔力によって発酵が促され、酒が出来るらしい。しかもそれがめちゃくちゃ美味い。
う~ん人間の酒造職人が泣きそうな能力だ。
まだ魔力が少なく、時間が掛かるしかなりキツイらしいが、成長したらもっと素早く大量の酒を作れるようになるらしい。末恐ろしい事だ。
「……ロゼ様。ちょっと雑すぎます……これじゃあ売り物にならないので作り直してください」
「ええ~! 難しいのじゃ!」
リビングの隅にあるエリザの作業机からは、ロゼとエリザが必死に紙巻煙草を作っている声が聞こえる。
ちなみにこっちも凄い。
ダークエルフの特性とでも言うのだろうか、植物の魔力操作が得意なエリザは魔力を込めるだけで葉っぱから水分を飛ばす事が出来る。
エリザはその力を使って煙葉の葉っぱを乾燥させ、紙巻煙草にしている。
巻く所は人力なんだけどな。
(よし、出来た)
「お前ら飯だぞ」
そして、昼飯が完成すると全員で食卓を囲んでの食事。
俺は食べ終わると出かける仕度をして再び作業に戻り始める幼女たちに言った。
「じゃあ、俺はローランのところに言ってくるから良い子にしてるんだぞ?」
「「「は~い!」」」
俺は時を止め、家から出て行く。
ローランのところに言って何か仕事を貰ってこないとな。
だって今俺たちは……。
ニギルのせいで金が無い!
あのニギルの野郎が店を破壊したせいで売れる物が無い!
幼女たちは新しい酒と煙草を作ろうと手一杯だし、俺が生活費を稼いでくるしかないのだ!
モンスターを狩るのも良いが、ちまちま稼ぐよりも一気に大量の現金が欲しい。
何度もこういうやり方で金を稼ぎたくはないが今は仕方がないと思おう。
だって保護者だからな。
「ローラン」
執務室で一人作業をしていたローランの前で時を動かし、声をかける。
ローランは机ごとビクリと震え、前回と同じように椅子から転げ落ちた。
「うひゃああ! くっ……クロノス様!? なんでそこに!? それ本当にやめて下さい!」
「え~やだよ。正面から入ると時間かかるじゃん。謁見の許可は貰ってありますか? とか言われてさ」
倒れた椅子を直し、再び座るローランに俺は要件を言った。
「なんか仕事ない? 一か月くらい生活出来る纏まった金が欲しいんだよね」
「え……ええ、それなら……ちょうど冒険者に頼もうとしていたものが……」
ローランは椅子から立ち上がると、俺に一枚の紙を渡してきた。
ローランが渡した紙に書いてあったのはダンジョンの探索。
場所はちょうど……ん? 見覚えがある。
「あれ? これ俺知ってるぞ? ゴブリンの洞窟だろ? あそこダンジョンだったんだ」
「ええ、街から距離もあるしゴブリンがいるだけだったので放置していましたが、一年ほど前とある冒険者があの洞窟のゴブリンの討伐依頼を出しましてね」
(多分エレンだ)
「一応その後、疫病防止に掃除に向かわせたのですが、またゴブリンが出現したらしいのです。それが何度も続くので、もしやと思い調べさせたら……古代文字が見つかったんですよ」
古代文字が見つかるダンジョンと言えばあれしか無いな。
「へぇ~あそこも奈落のダンジョンだったんだ」
「ええ、恐らくそうですね。もしそうであれば、リベルの街に本格的な冒険者ギルドを作っても良いと思っています。奈落のダンジョンは宝の山ですから」
と、ローランは俺をソファーに座らせ、酒を注ぎながら言ってきた。
少し、ワクワクとした様子でだ。
そりゃあ自分の管理地域から奈落のダンジョンが出てきたら嬉しいよなぁ。
【奈落のダンジョン】
俺が勇者時代だった頃にも少しだけ潜ったことがある。
超古代に作られたと言うダンジョンらしく、特徴としては壁に古代文字が刻まれている。
そして、全てのダンジョンは繋がっていると言われており、実際にとある国と国にある奈落のダンジョンは繋がっていて、貿易の最短ルートになっている。
他にも無限に地下へと続いているので、そこに眠る宝やモンスターを狩ろうと冒険者が押し寄せてきたりなど、奈落のダンジョンによる利益は数えきれない程ある。
(確か……昔潜った時は、地下200層まで降りたところで食料が無くなって帰ってきたんだよな)
そこで見つけたのが、この聖剣だったりする。
と、思い返している時。
ローランが俺に話しかけてきた。
「他の国や町へのルートが見つかれば最高ですが、そうでなくとも5層以上のマッピングをしていただければ幸いです!」
「おっけー。それくらいなら楽勝だ」
そして俺は時を止め、家へと買える。
(一応明日の食事も作っておかないとな……多分一日くらいは帰れないだろうし)
なぜなら今回の仕事は……。
(時間が止められそうに無いからな)
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