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17/30

元勇者クロノス&元魔王ロゼ

 ピットとエリザの店【ピットリゼ商店】がオープンしてから二週間が経った。


 初日にローランが来てくれたこともあり、いきなりお得意さんが出来たのが嬉しい。

 酒一本銀貨八枚、煙草十本銀貨二枚と、結構庶民には高い金額設定なのだがちょくちょく売れている。

 毎日ピットとエリザは楽しそうに店に行き、その間に俺とロゼは……。


――畑を耕していた。


「ぬ~……こんな時、儂に昔の力があったらのぉ……土なんて一瞬で掘り返せるんじゃがのぉ……」


「ちっ! 口より体を動かせ!」


 朝早く置き、俺は鍬でロゼはスコップで家の前の土地を耕し、森で採ってきた赤葡萄と煙葉の枝を挿す。

 挿し木と言う人工繁殖方法なのだそう。

 昨日楽しそうに土を弄っているエリザが教えてくれた。


 〇


「何してんの?」


「あ! クロノス様! これは挿し木です! 植物は可愛くて生命力がありますからね! こうやって枝を挿しておけば根っこを出して増えてくれるんですよ? まあ、私の魔力を与えないと成功率は低いですが」


「へぇ~そうなんだ。エリザは物知りさんだな。なんで今までこれをやらなかったんだ? これやればわざわざ森に採取しに行かなくても良かったじゃん」


 そう言うと、エリザはスコップで耕した土に赤葡萄の枝と煙葉の枝を挿しながら答えた。


「えへへ……お金が沢山手に入る様になって、私たちの売り上げで肥料を買えるようになりましたからね」


 そしてエリザは土に挿した枝に魔力を込めると、その枝は淡く輝きエリザの膝上くらいまで成長した。

 おお……凄いな。流石ダークエルフ、植物に関しての知識と魔力技術がずば抜けている。


「これであと半年くらいしたら取れる様になります!」


 そう言いながらスコップで次の土を掘り始めるエリザ。

 草の根や、砂利などがあって大変そうだった。


「……俺が明日やっておくから晩飯にするぞ」


「ええ!? でもクロノス様は国賓じゃないですか! ダメですよ!」


「うるさい! 酒と煙草が大量に作れるようになれば俺の取り分も取れるからと思っただけだ!」


 と言うことで、現在俺は「儂も一緒にやる!」と言いだしたロゼと共に畑を耕している。

 耕しすぎてしまった。これじゃあピットとエリザが加工出来ないくらいの赤葡萄と煙葉が収穫出来てしまうな。


(まあいいか。余った土地には芋でも植えて食料にでもすれば)


「そろそろピットとエリザが帰ってくる時間じゃぞ?」


「そうだな。そろそろ晩飯の仕度でもするか」


 そしてロゼと一緒に晩飯を作りながらピットとエリザの帰りを待つ。

 今日はじっくりコトコト煮込んだシチューだ。


「ええ~! 黄金人参はいらんじゃろ! 嫌いじゃ!」


「いるんだよ。好き嫌いするな」


 ロゼと共に野菜を切って炒める。

 そしてそこに赤牛の乳と、ロックバードの骨からじっくりと出汁を取った特製スープを入れ煮込む。

 う~む美味そうだ。会心の出来、早く食べて欲しい。


 そして三時間後……。

 俺とロゼは、鍋の中で冷めきってしまったシチューを見ながら呟いていた。


「遅いのぉ……早く食べたいんじゃがのぉ……」


「そうだな。これは帰ってきたら説教しなきゃいけないな」


 いつもなら日が落ちる前に帰ってくるはずなんだが、もう完全に外は真っ暗だ。

 もう先に食べてしまおうかと思っている頃、家の扉が開いた。


「おい! お前ら遅すぎだぞ! もうシチューが冷めちまっ……」


「大変です! ロゼ様! クロノス様! ピットちゃんが! ピットちゃんが!」


 入ってきたのは、尋常ではない様子のエリザ。

 体は擦り傷だらけで、目には大粒の涙を浮かべている。


「おい! 何が……」


「何があったか言うんじゃ」


 俺より早くロゼが反応した。

 思わず背筋が凍る。

 その声は三年前、ロゼが魔王だった頃の重く冷たい声だった。


「閉店作業をしていたら、いきなりニギルさんと沢山の男の人が入ってきて! お店をめちゃくちゃにしたんです! そして! そして! ピットちゃんが連れて行かれちゃって!」


「もういい。分かった」


 ロゼはそう言うと自分の腕を噛み、血を吸った。

 みるみる内にロゼの魔力は跳ね上がっていき、体は大きく成長していく。


「ロゼ……その姿……」


「一分だけじゃ。日が落ちた後、一分だけなら元の姿に戻れる。儂がこの三年間何もしとらん筈がないじゃろう」


 そこにいたのは、三年前と同じ金髪灼眼の目も眩むような美女。

 白い肌とは対照的な漆黒のドレスを身に纏い、まるで虫でも潰す様に人類を蹂躙していった【不死の魔王】ロゼの姿だった。


 思わず全身に力が入る。

 いつでも時を止められるように意識を研ぎ澄まし……やめた。


「殺すなよ?」


「脅すだけじゃ。移動は頼むぞ」


 少しため息を付いて、俺は大人の姿になったロゼをお姫様抱っこした。

 確かにお前に脅されたら二度と悪さなんてしないだろうな。


「はいはい。送っていけばいいんだろ? 次、気づいた時には敵の前だからな」


「かっか! 寂しいのお!」


「うるせえ」


 と、一言言って……。


 ――時を止めた。

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