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土下座《悪徳商人side》

 ニギルがピットを商会から追い出して三日経った。


 クロノス達が、大通りの片隅にある店の内装作りに四苦八苦している中……。


「ああもう! クロノス兄さん貸してください! トンカチの使い方が成っとりません!」


「そうですよ~商品の並び方も全然可愛くありません!」


「ごっ……ごめん……ピット……エリザ……」


 ――黒髭商会の応接間では、ニギルがローランの使者と話し合っていた。


 〇


「営業許可証を金貨百枚と言う値段で商人たちに売っていると言うのは本当ですか?」


「いっ……いえ、それは!」


 ニギルはダラダラと噴き出る汗をしきりに拭いながら視線を逸らす。

 対するローランの使者は、ニギルを冷たい目で見ながらため息を付いた。


「はぁ……私も暇な訳では無いんですよ……ニギルさん」


「いえっ! あのっ!」


「商会の周りにいる商人に聞いてきてもいいんですよ?」


「申し訳ありませんでしたぁ!」


 瞬間――逃げられないことを察したニギルは土下座をした。

 涙を流しながら必死の謝罪。

 応接間の床に涙を零し、押し付けた額を赤くする中、下に向けたニギルの顔は……醜く笑っていた。


(確かに俺はやりすぎた……だが、ここで謝れば終わりだ! これから先、営業許可証を金貨一枚で売ることになるだろうが、そんなものどうでもいい! それでライバルが増えようが、ドワーフの酒とダークエルフの煙草があれば俺は稼げる……)


 ピットとエリザなんて所詮ガキ。

 他に売らないようにする手段などいくらでもあると思案している中……冷たい声が頭上から響いた。


「謝るのは私じゃないでしょう」


 ビクリとニギルの身体が震える。


「はっ! ローラン様の元へと行き! そこでまた謝らせて頂きます!」


 顔を下げたまま、床に向かって全力で叫ぶ。

 しかし、ローランの使者からの返事は無い。

 ニギルがゆっくりと顔を上げると、ローランの使者は無表情のままこう言った。


「いいえ、謝るのは商人に対してでしょう。商会の前に行き、土下座して謝って下さい」


 ニギルの顔が引きつった。


 〇


「皆さん! 今まで申し訳ありませんでした! 私ニギルは本来金貨一枚の所! 営業許可証を金貨百枚で売っていました!」


 数十分後。ニギルは商会の前で土下座をしながら絶叫していた。

 周りには何事かと集まってくる人だかり。

 中には罵声を浴びせる商人や、唾を吐きかけてくる商人もいる。


「死ね! ブタ!」

「もう、お前の所には売らねえよ! 自分で売ってやる!」


(っ! 誰だ! 今言ったの! 顔を覚えて……)


「何頭を上げようとしているんですか。下げなさい」


 上げようとしたニギルの頭は、使者の靴底によって抑えられた。

 ガンと額が地面に押さえつけられ額に血が滲む。


 出てくる涙は先程までの嘘の涙ではなく、悔しさからくる本物の涙。


(くっそ! くそぉ! でも、俺にはドワーフの酒とダークエルフの煙草があるんだ! 失った信頼はそれで取り返せばいい!)


 ニギルが罵声を耐えながら考えていたのはーーピットとエリザの事。

 現在ローランからの信頼は地に落ちているが、それもローランが酒と煙草を買ってくれる以上長い時間はかかるが回復することは出来る。


(ローランとのパイプがある以上俺がこの町で一番金を稼げるんだ! 貧乏商人どもめ……覚えてろよ! 店を出した瞬間潰してやる! 商売って言うのは金を持っている奴が一番偉い事を思い知らせてやる!)


 その時、ピットとエリザの声が聞こえた。


「あかんなぁ~もっと酒作りたいんやけど、酒は時間が掛かんねん。エリザはどれくらい煙草作ったん?」


「ん~と、私は二百本くらいですかね? それでもまだまだ足りないですよ~それと、いろんな種類も作りたいですしね」


 土下座した姿勢から聞こえた二人の声。

 ニギルは靴底を跳ね除け、人だかりの向こうで歩いていた二人に叫んだ。


「お前ら! 早くうちに売りに来い! 今なら金貨一枚で買ってやる!」


「え? 何言ってるん? もう売らんよ? ウチら自分の店あるもん」


「はい。この通りローラン伯爵直々の営業許可証もあるので」


「なっ……なっ! なっ!?」


 エリザが見せてきたのはローランの署名が入った営業許可証。

 見た瞬間に理解した。


(終わった……)


 ローランの署名の入った営業証明書を持っていると言うことは、既にローランとの繋がりがあると言う事。

 確実に直接売られる。そして……自分とローランの繋がりは途絶える。


「だから何頭上げてるんですか。下げなさい」


 再びガンと頭を踏みつけられニギルは泣き叫んだ。


「おおおおおお! おおおおおお! 申し訳ございませんでしたあああああ!」


 ニギルはまだ知らない。

 二日後。届けられた酒と煙草の品質がいつもと違うと、ローランが激怒することを……。

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[気になる点] ダークエルフが製造していたのは煙草では?
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