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かさ増ししちゃった悪徳商人

「ただいまあ!」


「コホッ……おかえり……ってどうしたんですか!? クロノス兄さん! そない怒って!」


「コホッ……何かあったんですか?」


 家に帰ると、少し体調が良くなったピットとエリザがお出迎えしてくれた。

 ロゼはすやすやと寝ている。

 ちょうどいい。そのまま寝てろ。

 俺は、ドカッとリビングの椅子に座りながらピットとエリザに黒髭商会での話をする。


「何なんだ! あのニギルとか言う男は! 舐めやがって! 安く買い叩きすぎだ! どうせ他の国に高く売ってるに違いない!」


 思い出して、より腹が立ってきた。

 こいつらがどれだけ頑張って作ってると思っているんだ!


 毎日地下の酒造蔵に篭って、少しでも美味い酒を造ろうと試行錯誤しているピット。

 毎日リビングの横の作業机に座りながらコツコツと紙巻煙草を作っているエリザ。


 ロゼと俺が森で採取してくる果物や煙草の葉なんて味も大きさもバラバラだろうに、丁寧に処理して毎回最高のものを作ってくれるんだ。

 それを相手はガキだからって足元を見て、クソみたいな値段で買い取りやがって!


 怒りを爆発させながらピットとエリザに言うと、二人は顔を暗くした。

 布団から、もそもそと這い出てきて、ちょこんと椅子に座ると話し出した。


「……せやかて、他の街に行くには遠いし……ウチらはあそこに買って貰うしか無いんですよ……」


「そうです……私たちみたいに街が出来た後にやってきた移民は、営業許可証を買わないとお店を持てませんし……」


 だから今まであんな金額で買いたたかれていたと。

 だから今まで貧乏をしていたと。

 ふざけんな。なんで早く俺に言わなかったんだ。


「だから買うことに決めた。営業許可証金貨百枚だろ? 速攻で稼ぐ」


「ええ! そんな悪いですよ! クロノス兄さんは国賓やないですか!」


「そうですよ! 明日私たちニギルさんに謝ってきますから! 沢山きっと許してくれるはずです!」


「絶対に謝るなよ」


 俺はピットとエリザに低い声で念を押すと、鏡の前に行き変化の指輪を外した。

 黒髪に黒い瞳の三年前の姿だ。懐かしい。この姿で世界を救い……そして人も殺したっけな。

 凄くやりたくはないが、この顔の役得を使わせて貰うか。


(確か……ここから一番近いのはローランの所か)


 ――時間を止めた。


 〇


 その頃、黒髭商店の地下倉庫。

 ニギルは、残り少ないピットの酒とエリザの煙草を見ながら苦悩していた。


「……数が足りない……今日出荷なのに……」


 ニギルはピットとエリザから安く酒と煙草を買い叩いて、貴族に売っていた。

 ドワーフの酒とダークエルフの煙草と言うだけあって、貴族からの評判も良く、高く売れる。


 一か月に一度。金貨二十枚と引き換えに、酒十本と煙草百本を持っていく契約をしているのだが、今日ピットが売らなかったせいで量が足りなかった。


 誰もいない倉庫の中で考えこむ事一時間。

 ニギルは覚悟を決めると他の棚に置いてある安酒のコルクを抜いた。


「……どうせ貴族なんて馬鹿ばっかり……品質の良さなんて分からないんだ。少しくらい混ぜ物をしても……」


 ニギルはピットの酒に他の酒を注ぎ、エリザの煙草に他の煙草の葉を混ぜ、数を増やし始めた。

 一回だけならバレないだろうと。


(どうせ……今回だけだ……バレはしない……あのガキ共だって少ししたら金が無くなり、売りに来るようになるだろう……そしたらもっと儲けられる……)


「ぶはははは! ぶはははははは!」


 ニギルは酒と煙草のかさ増しをしつつ、ブタのような腹を揺らす。

 この街の商人は完全にニギルが仕切っている。

 ピットとエリザが他で売ろうとしても、それを許さないだけの権力がニギルにはあった。

 彼女達が金貨百枚を稼ぎ出して営業許可証を自分から買わない限り、酒と煙草は金にならないだろう。


(……もし金貨百枚を持ってきても……営業許可証を売るつもりは無いがな)


 更に営業許可証の販売は、ここ一帯を治めている貴族からニギルへと一任されてある。

 誰に売るか、いくらで売るかは彼の匙加減しだいだった。


(来月になれば今まで通り……いや……今までの倍以上の酒と煙草が手に入る……そしたら俺は倍稼げる!)


 ニギルは、かさ増しした酒と煙草を木箱に詰めると、部下を呼ぶ。


「おい、これをローラン伯爵の元へと届けてこい」


 部下に命ずると、ニギルはエリザが作った煙草に火を付けた。

 美味そうに煙を吐き出すと、薄暗い倉庫の中にやりと笑った。


(ローラン伯爵……感謝してますよぉ……俺にこの街の実権を握らせてくれて……)


 ニギルは知らなかった。

 現在クロノスがローランの元にいることを。

 そしてローランは三年前にクロノスに命を助けられ、彼に絶大な恩を感じている事を。

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