表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

高校教師 明菜

首都圏での会社勤めから実家のある地方都市に戻ったライター・ハシモトカエデの連載記事。コンセプトはトレンディドラマや携帯小説に飽き足らぬ人々に贈るローカルで身近なラブストーリー。第2回は高校教師にして生徒の良き恋愛アドバイザーたる明菜。

 はじめに、「田舎的恋愛事情」とは、首都圏の四大卒元会社員のハシモトカエデが実家のあるとある地方都市を舞台に、また地元の旧友たちを登場人物に描く実録恋愛活劇である。甘酸っぱい初恋あり、誰にも言えない禁断の恋あり、トレンディドラマや携帯小説に飽き足らぬ人々に贈るローカルで身近なラブストーリーである。


 二回目の今回は予告通り、県立高校教師である明菜さんにインタビューしました。平日の夕間暮れ、隠れた名店と評判の明菜さんの勤める高校から程よく離れたフレンチレストランで。


「まず言っとくけど教師ほど色気のない仕事もないと思うよ。周りはガキか親父だけで、お洒落する気も起きなくて参ってるんだから。」


 それはそれはお気の毒さまで。

 それでも向こうからちょっかい掛けられることもあるでしょうに。高校時代にはほぼ毎年三通ほどのラブレターを受け取っていた彼女のことだ。


「うーん、それはまあ、あたしもうら若き乙女だもの。先輩教師(40歳)に口説かれたこともあるし、生徒にラブレターもらったこともあるさね。ただ全くときめかなかった。職場で口説かれてもその気になれないわよ。」


 でも公務員なんだし割と堅実な恋愛対象が見つかりそうなものですが、と水を向けると

「それはまあそうなんだけど、堅実な男なんてマザコンの確立割高でしょう?」


 なんでも同僚に一人、堅実なマザコンがいたらしい。彼は今年度の異動で飛んで行ったらしいが、彼女に気があったらしくデートのお誘いが一度ならずあったという。最初で最後のデート、彼の誘いに応じ彼とドライブ。車内のあちこちに女の、というか母のマーキング多数。その日はサッサと引き上げ、二度と彼の私事に立ち入らず、彼女の私事にも立ち入らせなかったという。

 先述の先輩教師(40歳)もマザコンのにおいがするそうだ。来てるスーツはいいモノなのになんだか野暮ったい。


「見た目で判断してるわけじゃないけど、40歳独身が自分で選ばずに買ってもらったもの着てるとしたら、それだけでちょっと問題あるでしょう。彼女や奥さんがいるってんなら許せるけどさ。」


 そうでした、彼女はなぜかやたらと男の選別に関して素晴らしい嗅覚をお持ちなのでした。それはいまだに健在の模様、ただ一向に彼女自身の役には立っていないよう。


「そうそう、先週女生徒に恋愛相談されたの。よく知らない男の子に告白されたんだけどどう答えていいかわからないって。付き合いたいのか断りたいのか本人もわからないって泣くのよ。信じられる?」


 あなたは持前の嗅覚でバッサバッサと切り捨てていましたからね…。好みじゃない男にばかりモテる彼女も不憫と言えば不憫でも、私には屍の山が見える。


「でまあ、放課後だったから面倒に思えて、そんだけ泣くくらい相手のこと気遣ってるんだから憎からず思ってるんだろうし、あくまでも高校生らしい健全なお付き合いの範疇でお互いのこと分かり合えるまで保留にすれば? って言っといたの。」


 オ、教師ラシイんだかラシクないんだか、とにかくいいアドバイス。


「そうしたら昨日報告があったの。なんでも悲壮な覚悟でいた彼が彼女の悪くない返事に泣きそうになっちゃったんだって。それで彼女も感動しちゃって、結局お付き合いすることにしたんだとさ。二人してお手々つないで見せつけに来やがったよ。

 まあ、その男の子が不良っぽいながらも、今時硬派というのか、将来いい男になりそうなにおいがしたからとりあえず安心はしたけどね。」


 オ、教師というより恋愛アドバイザーという感じ。実際その手の相談は後を絶たないそうな。


「いわゆるイマドキの高校生は一日のうち恋愛の占める時間というのが長いんじゃないかと思う。メディアが恋愛幻想を持ち上げるし、メディアに接続している以外にやることがないのも一因だけど。

 メディアに踊らされてるんじゃねーよ、ってキレても分かんないだろうから黙って聞いてやってるけどね。」



 うら若き乙女と高校教師の二足の草鞋はなかなか大変なようですが、ここまででこの記事は一区切り。

 次回は更に彼女自身の恋愛観に突っ込んだ話になっていきます。次回に向けて、明菜さん一言どうぞ。


「あたしはまだまだ自由恋愛を謳歌したいお年頃なのよ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ