4.マグマ
二人の力士が腰を落とし視線を合わせる。そして両力士が地面をこぶしで軽く叩くと猛然と全身でぶつかっていく。はっけよい、のこった!!後前嵐と呼ばれた男の方が出足が早い。しかし 、両力士の頭がぶつかる寸前表裏嵐は身体を翻して横っ飛びで相手と距離を取った。
「気づいたか…」
赤目の男が悠然と背を伸ばす。先ほど男がこぶしを置いた地面が崩落し、中から赤い光が漏れていた。見ればごぷりごぷりと音を立てて溶岩が湧いている。
「俺の名は『ジャイガンティック・マグマ』見ての通りマグマを操る相撲能力の持ち主だ」
対して後前嵐は腰を低くしていつでも飛び掛かれる状態を維持したまま早口で応える。
「へっ、自己紹介とはご苦労なこって!俺の方は知ってるだろうから端折らせてもらうよ!」
言うが早いか後前嵐は相手に向かって飛び掛かる。ジャイガンティック・マグマは不敵な笑みを浮かべたまま下がりながら地表を割って溶岩の柱を作り出す。そこへ頭から溶岩の中に飛び込んでしまう後前嵐。マグマの温度は1000℃前後。人が飛び込めばひとたまりもない。勝負あったか後前嵐!?塵と消えたか後前嵐!?!?ぶふふっ。ごぶっごぶっごぶっ。燃え盛る炎の柱の中に人影が見える。そうだ、僕らの後前嵐!!ずずずずずずっ。一瞬のうちにマグマたまりが消え去った。のけぞるような姿勢の後前嵐。ゆっくりと体勢を戻してジャイガンティック・マグマの目を見つめる。口の端から溶岩が垂れていた。
「バッ、バカなっ!飲み干しただと、俺のマグマを!!」