第0章 プロローグ 死の記憶
初投稿です。
誤字があったらすいません。
書きだめはできないほうですので。
まだストーリー構成などが出来てないので、とりあえずプロローグだけ投稿しておきます。もしかしたら本編はものすごく後になっての投稿になるかもしれないです。
これからよろしくお願いします!
2020/03/15 改稿しました。
第0章 プロローグ 死の記憶
桜が咲き誇る、春の季節。高校に向かう、坂を登る生徒が2人。
「もう始業式かぁ、早いなぁ。もっと休みたい」
そんな愚痴を言いながら歩いているのが『俺』だ。
「休みたいとか言わないの! ちゃんと学校に行って、だらけていないで授業をしっかり受けなさいよ!」
俺の隣を歩く、小言を言う女子高生。この子は水樹。優等生だが、昔から隣の家にすんでいる、いわゆる『幼馴染』。小学校から高校までずっと同じ学校だ。青春アニメなら、きっと恋愛関係に発展していただろうが、あいにく、ここは現実だ。こいつは同じクラスの光輝という超絶優等生なイケメンに惚れている。
「今日は光輝と一緒に登校するんだろ、いつまでもここにいていいのか? もっと俺と会話したいのなら別だけど」
「あ、そうだった!じゃあね!」
わかってはいたが、なんと薄情なやつである。
水樹は俺を置いてさっさと自転車に乗って学校に向かっていった。
「俺も学校にいくか」
「おーい、鈴木くん」
後ろから声が聞こえた。坂をガタイのいいおっさんが登ってくる。
この男は水樹の父親。いつも神社の経営をしてるらしい。
「娘を見なかったかい?弁当を忘れてしまっていってね、場合によっちゃ届けなきゃいけないからね」
「水樹なら光輝と一緒に登校するためにもう行っちゃいましたよ」
「そうかそうか、ところで、一緒に登校だと? 最近娘が光輝とやらの話ばっかりするんだ。どういうことかね、鈴木くん」
いや、この反応はわかってるだろ、絶対。
「えぇと、その、わかってますよね?」
「なにがだい?」
「水樹が光輝というクラスメイトに惚れてることを」
水樹の父親の顔が渋くなる。
「それで水樹に弁当を届けてくれないかね?」
「え、なんで俺が……」
「いいよね?」
「あ、ハイ」
「頼んだよ、鈴木くん!」
なんだろう、怖くて従ってしまった。
さっさと学校に行って届けよう。
ーーー
しばらく、自転車を漕いでいると、前に水樹を見つけた。
「あれ、光輝と一緒に登校だって言ってたのに」
他の女子高生もいる、なにか騒がしい。
「あんたさえいなければ!」
「うるさい! あたしの勝手よ!」
水樹は自転車を降りていて、なにかを口走っている。少し怒っているような顔だ。
ちなみにうちの学校の女子の制服は『白いセーラー服』だ。だが、水樹の周りの女子高生は『紺のセーラー服』を着ているので、他校の生徒だろう。
「うわっ、めんどくさそうな。さっさと弁当渡して学校に行きたいのになぁ」
仕方ないから、自転車を降りて水樹に近づいていく。
すると、他校の女子高生の一人が、水樹を突き飛ばした。
「へ?」
水樹は道路に尻もちをついた。足を擦っていて、血が出ている。
そこへトラックが走ってきた。
「おいおい、やばいだろ」
走って走って、俺はすぐさま水樹の体を突き飛ばした。
キーっと擦れる音が一瞬聞こえた。あとから考えてみればブレーキをかけた音だったのだろう。だけど、間に合わなかった。
トラックが俺にぶつかった。
「がふっ」
俺は吹き飛ばされながら意識を失った。
トラックの『ナンバープレート』には何も書かれていなかった。
ーーー
最初に目に映ったのは青い空だった。
『あれ、おれはなにをしていた……?』
そこで気づく。道路で水樹が『なにか』にしがみついて泣いている。
『おい、なにやってるんだ?』
俺は咄嗟に水樹の肩に触れようとした。
俺の手が水樹の肩をすり抜けた。
『…………え?』
「ひゃん!」
そして気づく、『俺』の身体が半透明なことに。なんだか、上に引っ張られるような感覚もある。
俺は腕を無言で戻した。
「あう……」
水樹が変な声を出しているが、そんなことはまったく認識してなかった。
そして、結論を口に出す。
『俺は……死んだのか?』
そしてすぐに周りを見渡す。
目の前にトラックがあり、血まみれの俺……正確には『俺の体』があり、水樹が道路でしがみついている。そして、他校の女子高生が腰を抜かしていた。
ーーー
ずっとずっと腕を組んで考えていた。気づけば、トラックがいなくなり、救急車が来ていた。『俺の体』が運ばれていくのを、端から『俺』が見ている。
『やっぱり死んじゃったのかな?』
俺は腕組みをとき、手を広げる。グーパーを繰り返した。いつもとなんら変わりなく動かせる。だが、その手は半透明で、下の道路が透けていた。
『幽体離脱って可能性もありうるのかな?』
俺は、救急車へ近づいていく。
『元の身体に戻れるかな?』
俺が考えているのは、死の恐怖よりも、孤独の可能性だった。
周りを見渡しても、自分以外の幽霊などはいない。自分の声は誰にも届いていない。そして、考えつく未来は。
『1人は嫌だなぁ』
なににも触れず、誰とも話せず、それは『孤独』と言えるだろう。
『試してみるか』
俺は元の身体に近づいていく。そして俺の身体に右手で触ろうとした。
バチン
俺の手が弾かれた。
『え?』
『俺』と『俺の身体』の間にいつの間にか黒い球体が存在していた。
『は? え?』
俺の右手首から先がなくなっていた。
瞬間、黒い球体が広がっていく。いや、見える景色を全て絵の具で塗りつぶしたようになっている。
『なにこれ?』
全てが黒に塗りつぶされ、自分以外には何も残っていなかった。ただただ、黒い空間に自分が存在している。
『あぁそうか』
『俺』、いや名前も名乗らぬこの物語の『主人公』は諦めの表情をする。
『きっとこれは夢なんだ』
『主人公』の意識はゆっくりと消えていった。
ーーー
『回想モードを終了します』
黒い空間に横たわる『主人公』の顔の右上に、文字が浮かんでいた。
ーーー
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