表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

それは紫色の朝顔のように 下総雨情



老紳士の奥様は、息子夫婦と同じ天災で亡くなったという。孫娘の死因は聞けずじまいだった。香沙音は老紳士に請われ、朝顔を用意する。今回は準備万端だ。



 白い陽射しが庭を照らしている。濃い陽射しの白色が際立ち、明るさで目眩がしそうになる。血溜まりのような朝顔が、裏で咲いている。先日から大切に世話している『夕海』は日陰だったからか成長もささやかで、素人の香沙音でも手におえそうだった。これで巨大に成長していたら、種しか渡せなかっただろう。

 老紳士は株ごとご所望だった。なんでもすぐに展示会で使うという。なるほど、だからこんなに急だったのか。



 「そうだ、この近所に神社があるのをご存知ですかな」

 「え?ええ…そういえば、本日はお祭りですわね」



 今まで行ったことがないが、お祭りだ。都会のお祭りならともかく、田舎のお祭りはご近所付き合いが色濃い。そのため、香沙音は遠慮して行ったことが無かった。



 「よろしければ、一緒に行きませんか?」

 「え?」



 老紳士は微笑む。



 「ご近所さんとは、あまりお付き合いなさっていないのでは?」

 「!!」



 息を飲めば、老紳士は続ける。



 「排他的な地域ですからね。そうなってしまって無理はないでしょう。奥様は華やかで、この村では浮いてしまう」

 「ええ…」

 「責めているわけでは御座いませんよ。よし、私が一肌脱ぎましょうか」

 「?」





 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ