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ソロキャンパーの転生先はショタっ子魔族でした  作者: しき
異世界に転生しまして
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第6話 勉強して

ぼくの目の前に光の玉がふよふよと浮かんでいる

これがぼくの適正だ

光の魔法だ


ふよふよと頼りなく浮かぶ光の玉はちょっとした光量がある

月の無い夜中に読書が出来るか出来ないか程度

ぶっちゃけ蝋燭レベルだ


光魔法は適正者が少なく、その研究も進んでいない

現存するのは『ライトニング』ただ1つ

この光の玉だった


なんせ光魔法は属性じゃない

しかも攻撃魔法もない

ていうかこの光の玉しかない


冒険者なら攻撃手段を取るだろう

研究者なら蝋燭やランタンを使うだろう

光の玉に使い道は無かった


それでもせっかくの適正だ

これを伸ばしてやって、余裕が出来たら別の属性にも手を出そう

その時はイージーモードどころかルナティックモードレベルかもしれないけど


ぼくがハァ、とため息をつけば光の玉は明滅して消えた

ただの灯りのくせに結構な集中力がいるのだ

おまけに今のぼくは三歳児なんだしね


僕はもう一度光の玉を生み出す

今度は詠唱破棄だ

右手の人差し指を立てるだけ


それで音も無く光の玉は出現する

何度目かも数えていない魔法の発動に感動も無い

これしか使えないんだからとっくに飽きてきた


最初は全文詠唱でも指先が光るだけだった

持続時間も数秒程度

それが数時間で詠唱破棄まで持って行けた


指先から離すのが難しかった

質量の無い物体をラジコンで操るような感覚だ

スマホに映る物体を視線で誘導するって方が近いかもしれない


それに気付いたら後は楽だった

結構自由に動かせる事も知った

ただ視界から外れると急に制御が難しくなって霧散したりする


次は2個に挑戦しよう

成功した

つまらん…


じゃあ今度は大きめにしよう

成功した…

やっぱつまらん……


じゃあこの大きいのに衛星みたいにちっちゃいのを浮かせて…

成功…

だよね…


じゃあ全部で何個出るかな

2個…3個…4個…5個…

6個を超えると制御が難しいようだ


この辺りでクリストフも飽きたのかうたた寝を始めてしまった

彼は自分には光の魔法の適正は無いと言った

それでも詠唱破棄で一度に数えきれない量の光の玉を生み出した


この光の玉は汎用性に欠ける

周りを照らすしかできない

ある程度の光量が調節できれば良いんだけどね


あれ?

でもそれってしてないだけで出来ないわけじゃない気がする

物は試しだ、やってみよう


「光よ、明滅せよ! ライトニング!」


ぽわっと浮かんだ光の玉がじわじわと光量を下げる

そんでまたじわじわと光量を上げてくる

やった、成功だ!


よしよし、良い感じだ

次は何にしようか

鏡なんてどうだ?


「光よ、反射せよ ライトぬっング!」


噛んだー!

噛んじゃったー!

誰も聞いてないだろうけどめっちゃ恥ずかしー!!


今度の光の玉はは…なんか普通だった

なんの変哲もない、まったく変化がない普通の光の玉だった

いやいや、実験に失敗はつきものだ


「つまりぃ……えーっと…こうだ!

 鏡像を結べ! ライトニング!」


今度の光の玉はかなり小さかった

小指の爪くらいか、しかも三歳児のぼくの

超ちっちゃい!


しかしそれを覗き込むと…目玉が見えた!

ぼくの目だ!

覗き込むぼくの目が鏡みたいに映ってる!!


これならいける!

今度は全力だ!

気合一発全文詠唱だ!


「光よ集え

 我が力を糧に集え

 祖は万物を照らす力なり

 祖は道を示す力なり

 力を以って示すものなり

 照らせ、照らせ、照らせ

 闇を掃いてその威を示せ

 汝に掃えぬものは無く

 汝に照らせぬものも無い

 我が意、汝の威を以って顕現せよ

 ライトニング」


全力で詠唱して全力を叩き込む

光の玉を生み出せと手のひら全体から叩き込む

手のひらサイズの光の玉に注ぎ込むイメージだ


で、一瞬で目の前が真っ白になった

やばいと思った時には光の玉が霧散するのが判った

それでも視力が戻るまでしばらくかかったけれど


視力が戻った時にはクリストフがぽかんとこちらを見ていた

視線が泳いでいるから彼はまだ視力が戻ってないかもしれない

結構な間抜け面ですこと


「今のはお前か」


「え?」


「お前か? と聞いた」


クリストフの顔は真剣だ

額に手を当てて、じっとこちらを凝視している

その視線には有無を言わせぬ圧力があった


「ライトニングです

 全力でやったらどうなるかな、って」


「光源を生むだけの魔術に全力か

 そんなもん誰もやった事ねぇだろうな

 だが、それだけに誰も気づいてない、か」


彼は人差し指を立て


「ジーク、目を閉じろ」


言うが早いかライトニングを発動した

言われたとおりに目は閉じていたが、その光は痛いほどに目に突き刺さった

ぼくの視力は完全に奪われていた


「目を閉じるどころか、寝てる奴の視界まで奪ってくれる

 防御不可能の完全な目くらましだ

 こいつは結構な凶器だな」


ぼくの視界はまだ戻っていない

それでもクリストフはさらに続けた

興に乗った教師の独白みたいだ


「前々からライトニングの詠唱が長すぎるとは思っていた

 手軽に灯りを生み出すだけの魔術には思えないほどにな

 レベル1で1小節、レベル2で2小節、レベル3で4小節、レベル4は8小節だ

 なのにライトニングの詠唱は10小節もある

 なのに詠唱省略も詠唱破棄も簡単だ

 本来使用される魔力量もかなり少ない

 アンバランスだ」


ぼくの視力はまだ戻っていなかった

だがクリストフのため息が聞こえ

ギィというイスに深く腰掛ける音が聞こえた


彼はもう視力が戻っているのだろうか

何かしら詠唱破棄した魔術でさっさと自分だけ治したのかもしれない

いやまぁ、何をしたのかは全然判らないんだけど


「今のでライトニングの新しい可能性を見た気がするな

 指向性を持たせて目に叩きこめば、目玉ごと脳まで焼けるかもしれん」


「ライトニングに指向性があるんですか?」


「…まだ視力も戻ってないだろう?

 無理をするな

 …だが、その通りだ

 数を作れるってことは形も変えられる

 大きさだって変えられる

 相手の頭のサイズにして脳天に叩き込んでやれ

 そうすりゃ無条件で今のお前の状態になる」


つまりクリストフは目のサイズで目の前にライトニングを生み出したのか

だから彼は平気でぼくだけが視力を奪われた

簡単な話だった


光は空気中で減衰する

だから彼は平気だった

あれ…だったらライトニングを制御しきれば…


頭の中に設計図を組み上げる

ライトニングが光を生む魔法ならやってやれないことは無いはずだ

幸い視力は戻りつつある


ぼくは立ち上がるとカーテンと窓を開け、外に手を突き出した

イメージが大事だ

想像するのは常に最強の自分だ、だったっけか?


「おい、何する気だ?」


複数のライトニングを手の平から生み出す

1つは光源、それを湾曲させた鏡像を結ぶ、鏡の効果の光の玉で包み込む

『指向性』を持たせるんだ


クリストフはライトニングに指向性を与えられるといった

彼は多分、蝋燭を行灯にするとか

はたまたヘッドライト的な意味合いで言ったんだと思う


だが僕の頭の中の設計図は若干違う

ヘッドライトはある意味で近い

ガラスレンズ部を凸レンズにして収束させる


ぼくはたぶん、笑っていた

詠唱は省略

さっさと試してやろうじゃないか


「光よ!」


収束した光は光速で解き放たれる

レンズの役割を果たすライトニングに、光源となるライトニングが触れた瞬間

全ての光が一点に集中して解き放たれた


それはレーザーだ

原理としては簡単なものだ

光を増幅して収束させるだけ


ガラスでは透過率が低いという

だからダイヤやルビーを使うらしい

ここにそんなものは無い


だったら作ってやろうじゃないか

最高の透過率、光のレンズで収束させる

物体の介入する余地のない、究極にして極限の透過率だ


その目論見は成功した

思った以上の大成功だ

庭の木は、縦に両断されていた


なんだよ

ライトニング

結構使えるじゃないか


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