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ソロキャンパーの転生先はショタっ子魔族でした  作者: しき
異世界に転生しまして
3/32

第2話 神様と話して

さらに明るい光の塊が口を開く

口なんか見えないけどそう見えた

見えたもんはしょうがない


「なんか諦めに近いものを感じるけど、うん、しょうがないね」


おや、真似された?


「真似ってわけじゃないけどね、それは本当にしょうがないってもんさ」


なにがしょうがないのか説明を求めたいところだ

この状況にも

あの状況にも…


「うん、うん! わかるよその絶望感!」


テンション上げてるとこ悪いんだけどさ

本気でわけが分からないんだ

この半年も…その前のことも…


「オッケー、その説明、僕がしてあげようじゃないか」


本当に?

この軽い感覚にすっごい不安を覚えるけど…

とりあえずkwsk


「大丈夫、大丈夫! それじゃVTRすたーとっ!」


途端、ぼくの身体が目の前の光に吸い込まれた

悲鳴を上げる間もなく光に色がついていく

色とりどりの光がぼくの身体を通過していった


その光が実像を結んでいく

それは見たことがある

あの時のトンネルの中だった


ぼくが死んだ瞬間だった

狭いトンネルの中を2台の車が並走している

そこにぼくのカブが表れて…


正面からぶつかった


スキール音が響いたのはぼくの身体が宙を舞った後だった

ぼくとぶつかった車が並走していた、巡行していた車にぶつかる

二台はもつれるように壁に当たり、一台が横転してすぐに炎上した


カブはバラバラになっていた

キャンプ道具が散乱していた

ぼくの身体も…やっぱりバラバラに散乱していた


炎が広がる

もう一台に燃え移る

カブから漏れたガソリンにも引火して…


もう良い!

もう十分だ!

お願いだからやめてくれ!


「そうは言ってもね、君が望んだことじゃないか」


何を望んだっていうんだ!

こんなのを見せて何がしたいんだ!

ぼくが何をしたってんだ!


「君は何もしてないさ」


だったら…!


「だが君は望んだじゃないか」


…何を…


「僕の存在を、だよ」


お前を…?


「そう、神の存在だ」


かみ…神?

お前が…あんたが神様だっていうのか…?


「君は僕を呼んだ、そして敵だと言った

 神を、仏を、死の淵で呼びつけて敵だと言ったんだ」


いや、それは…


「判ってるさ、死の淵でそんな事を叫ぶ人間は山のように見てきたからね

 だから僕はこういうのさ

 君の罪を許そう、ってね」


罪…か


「そうさ、どんな宗教だろうと、どんな教育だろうとね

 神に唾する行為は罪だ、目上の存在へ唾する言動は罪だ

 だけど僕はそれを許すんだ

 ね?

 僕は心の広い神だろう?」


だったら…この半年は…一体なんだったんだ…


「僕は罪を許そう

 なんせ君は死んだんだ

 罰を受ける体も燃え尽きたからね

 だから君に、次を与えようと思ったのさ」


次…

それがこの半年だってのか…?


「うーん、それもちょっと違うかな」


違う…?

何が違う?

あの絶望が違うってのか!?


「あれはミスさ、僕の、全知全能の唯一神である僕のうっかりさ

 本当なら君は普通に生まれ変わるはずだったんだけどね

 ちょっとバグが紛れ込んだってこと」


なんだよそれ…

全然判らない…

お前が何を言ってるのか…全然…


「じゃあもう一回行こうか

 今度は続きから、ハイ、VTRスタート!」


光がまたぼくの体を通り抜けていく

加速し続ける光の群れが、また色を帯び始めて…

今度は今のぼくの、ジークの姿があった


この半年間が走馬灯のように流れていく

生まれた瞬間から、そしてついさっきの、絶望を感じた瞬間まで

それはこいつの、神様の見下ろす視線で再生された


「君は生まれ変わった

 本当なら前世の記憶なんて持つ事も無く生まれ変われるはずだった

 まっさらな、原罪すら持たぬ神の祝福を受けた赤子として、ね」


だけど…ぼくには記憶があった…


「そう、それが僕のミスさ

 思いがけないバグ、というかエラー

 ならそれは僕の責任で修正されなければならない、ってわけさ」


修正…

なんだ、何言ってるんだ…


「悪い事したらごめんなさいしないといけないよね、ってことだよ」


普通だな…


「普通だね」


でも…


「その普通の事は普通の人間には中々出来ないよね

 でも僕はそうもいかない

 責任者として、責任を取って謝罪して、罰を受けねばならないのさ」


罰か

どんな罰なんだ…?


「それを君に言う気はないかな

 いや、正確には言う気が起きないって所かな」


なんだよそれ…


「しょうがないじゃないか、言えないことも罰の中に含まれてるんだからね」


それを笑いながら言えるってのが…

ぼくには理解できないね


「…へぇ?

 何も見えないはずのココで、そんな感情の機微が判るってのは…

 うん、君なら本当にココまでこれそうな気がするよ!」


ここ?

ここってなんだよ


「ココはココさ!

 神の世界さ!

 僕らの座す、ココが神の世界なのさ!」


…神の世界に…これそう?


「そう、神の世界!

 君の生まれ変わったあの世界に繋がる神の世界さ!

 ココなら全てが叶う!

 全知全能の神が住むこの地にこれた時にこそ

 君の願いを叶えようじゃないか!」


願い…ぼくに願いなんて…


「元の世界

 君が住んでいた元の世界に返してあげる事くらいは出来るだろうね」


でも…ぼくはもう死んで…


「それだってなんとかなるさ

 だって僕は神様だからね

 君が死んだあの瞬間に巻き戻して、死ななかったことにするくらいできるさ」


本当に?

ぼくは…帰れるのか?


「あぁ、ココまでこれたら、君を元の世界に返してあげよう

 約束しようじゃないか」


でも、そんな事どうやって…?

どうやってココまで来れば…?


「それを君の贖罪にしようじゃないか!

 大丈夫、生まれ変わった君ならそれができるはずだ

 あの世界の生まれ変わった君にならそれができるのさ」


判らない、本当に判らない

いきなりそんな事言われたって…


「いずれ判るさ

 君はココに至る運命を背負って生まれなおすんだ

 その時にこそ、君を元の世界に返してあげると約束しよう」


その言葉…信じていいのか

ぼくは…前の記憶だって薄れてきて…

本当に何もかも奪われていきそうで……


「そんな泣きそうな顔をしなくてもいいじゃないか

 …よし、じゃあこうしようか」


…どうしようって…?


「失いつつある君を先に返してあげようか

 それが僕の誠意だと、贖罪の一部だと思ってくれていいよ

 だから君はちょっと頑張ってココまで来てくれればいいのさ」


本当に、本当に返してくれるのか?

ぼくを、返してくれるのか?


「約束しようじゃないか

 僕は君から何も奪わない

 だから君もココまで来てくれ

 それが僕と君との最初の約束だ」


最初の…か

なんだか次もありそうな話になってきたな


「その時はその時さ

 だから忘れないでくれ、と言っても忘れられないだろうけどね

 君が生まれ変わるための、唯一の方法なんだから」





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